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【鈴木敏恵の未来教育インフォメーション】
第601号/2019年4月22日発行[転送可]
発行者:シンクタンク未来教育ビジョン
鈴木敏恵( http://www.suzuki-toshie.net )
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Essay: AI時代の教育
AI、ロボテックが日常的になる近未来、これまで人類が普遍的にしてきた教育(知識の伝承)がまったく変わる。
そこでは、知識を正確に記憶する標準的能力、規格化できる能力・スキル、均一な評価基準で測れるものは、テクノロジーが担うようになる。
テクノロジーが得意なことはテクノロジーに任せ、私たち人間は、人間ならではの智慧や感性、才に注力するようになるだろう。それらはどう見いだし輝かせればいいのだろうか…ここにポートフォリオが応える。
鈴木敏恵 近著『AI時代の教育と評価』より
https://www.amazon.co.jp/dp/4316804359
連載:AI時代の教育ー次世代プロジェクト学習
新年度がスタートしました。あたらめて意志ある学びを叶える次世代プロジェクト学習のコンセプトと基本から応用、発展を連載したいと思います。
連載4:ポートフォリオの本質
ポートフォリオは作品ファイル
ポートフォリオとは、もともとは紙ばさみや作品ファイルを意味します。オリジナル性や創造的な仕事、建築家やデザイナー、モデル、カメラマンなど個性や感性、才能などで勝負をする人は、ポートフォリオを持っています。
ポートフォリオを見ると、その人ならではセンスや仕事の仕方、ものの見方や才能、持って生まれた資質など、数値化できない個性や能力などが見えます。
ポートフォリオの本質は情報の一元化
ポートフォリオは自分がこれまでやってきたことや考えたことを一元化するものです。
ポートフォリオの本質はこの情報の一元化にあります。結果ではなくそこに至るプロセスを見ることができます。はじめから終わりまでプロセスの可視化、俯瞰という普遍的な機能により、ポートフォリオはさまざまな活用、応用ができます。
ファイルへ関心のあること自分がやったことを入れます。入れるものには必ず日付や出典を添え根拠を持たせます。時系列、前から順に入れていきます。最初のページには必ず、ビジョンとゴール、ミッションなどを描いた「ゴールシート」を入れます。中身はテキスト資料だけでなく、データ、企画書、プレゼン下書き、写真、気づきメモなど多様であることが肝心です。
ポートフォリオは履歴書とは異なります。記入するものではなく、自分がやったことが分かるものを入れるもの、という認識が肝心です。
ポートフォリオ3つの分類
一人の人間が持つポートフォリオとして、3つに分けることができます。
ポートフォリオは“何”を軸に一元化するかで3つに分けられます。
自分の経験、関心、作品などを一元化した「パーソナルポートフォリオ」。プロジェクト学習や目標管理など一つのテーマで一元化したものを「テーマポートフォリオ」、自分自身の生活や身体、健康などセルフマネージメントに関するものを一元化する「ライフポートフォリオ」です。
「パーソナルポートフォリオ」はそれらを包括する上位概念と言えます。
パーソナルポートフォリオは社会的側面からはキャリアポートフォリオへと発展します。
パーソナルポートフォリオは、自分自身を見つめたり考えたりするもの、一方キャリアポートフォリオは、本人ももちろんですが、社会がその人の経験や仕事の進め方、考え方、能力、スキルなどを理解したいときに役立ちます。
パーソナルポートフォリオの軸は常に自分という1人の人間ということができます、それは外部の社会状況などにより変化することはありません。一方、キャリアポートフォリオのステージは社会ということができます。社会的に評価されるその人の実績や経験、仕事、学びなどの状況が一元化され見えるものと解釈できます。