2026年08月26日

鈴木敏恵 校長会講演記録①|AI活用ガイドライン・PBL・ポートフォリオ・AI×学校防災(2026.7.30)

鈴木敏恵 校長会講演記録①|AI活用ガイドライン・PBL・ポートフォリオ・AI×学校防災(2026.7.30)

令和8年度(第63次)県東ブロック学校長研修会要項|鈴木敏恵講演「AI時代の羅針盤」資料|令和8年度(第63次)県東ブロック学校長研修会要項
主催|茨城県学校長会・県東ブロック学校長会
開催|2026年7月30日(木)
講師|鈴木敏恵(未来教育デザイナー・一級建築士)
※研修会開催要領をクリックすると、茨城県学校長会「県東ブロック」公式ページへ移動します。

2026年7月30日、鹿行生涯学習センターで開催された「令和8年度 県東ブロック学校長研修会」において、小中学校の校長先生方61名を対象に、未来教育デザイナー・鈴木敏恵が講演を行いました。

講演テーマは、

「AI時代の羅針盤―意志ある学びをかなえるプロジェクト学習」

AI時代に学校が大切にしたい人間の意志とビジョン、PBL(プロジェクト学習)、ポートフォリオ、教育DX、AI活用ガイドライン、AIを活用した学校防災について、体験型の研修を交えながらお伝えしました。

【画像|資料1・1ページ「AI時代の教育|羅針盤」】

AI時代の学校教育―適応から創造へ

AIは、情報を集め、比較し、分析し、複数の可能性を示すことができます。しかし、自ら「何のために、何を実現したいのか」を決め、未来を描くことはできません。

未来を描き、ビジョンとゴールを決めるのは、一人ひとりの人間です。

これからの教育では、既存の社会に適応することだけでなく、子ども自身が未来を描き、新しい価値を生み出すことが大切になります。

講演では、AI時代の教育の方向を次のように示しました。

● 適応から創造へ―自分でビジョンとゴールを描く
● 標準から唯一へ―一人ひとりのオリジナルを生かす
● 結果からプロセスへ―変化と成長の過程を見えるようにする
● AIに委ねないこと・AIを活用できることを明確にする

AIは、人間の意志を可能にするイネーブラー

AIを使うこと自体が目的ではありません。

最初にあるのは、「こうなりたい」「これを実現したい」「誰かの役に立ちたい」という人間の願いと意志です。

AIは、その意志を可能にするイネーブラーです。

業務を効率化すること、短時間で資料を作ること、正解らしい回答を得ることだけがAI活用ではありません。人間が実現したい未来へ近づくために、AIをどこで、どのように生かすのかを考えることが重要です。

AI活用ガイドライン―AIに委ねないこと・AIを活用できること

学校で「AIの使用には注意しましょう」と伝えるだけでは、子どもも教職員も、何を人間が担い、何をAIに任せられるのか判断できません。

そこで講演では、AI活用ガイドラインの基本として、「AIに委ねないこと」と「AIを活用できること」を明確に示しました。

AIに委ねないこと

● 目的を決める―何のために行うのか
● 目標を決める―何を実現したいのか
● 目の前の現実や、変化する子どもの姿を直接見る
● 相手の気持ちや背景を受け止める
● 人間が意思決定する
● 結果に責任を持つ

AIを活用できること

● 情報を広く集め、比較・分析・整理する
● 複数の視点や可能性を示す
● 考えを言葉や図にして可視化する
● 計画や資料の「たたき台」を作る
● 見落としている観点を確認する

AIを活用できる範囲は広くあります。しかし、目的を定め、現実を見て、最終的に意思決定し、結果に責任を持つのは人間です。

AIに委ねないことを明確にすることは、「人間にしかできないこと」「人間として大切にしたいこと」を明確にすることでもあります。

【画像|資料1・6ページ「AIに委ねないこと/AIを活用できること」】

AI時代に大切にしたい6つの視座

AI時代に自分の意志で未来へ進むためには、AIを操作する技術だけでなく、自分と現実を見る視座が必要です。

鈴木敏恵は、次の6つの視座を「未来への羅針盤」として示しています。

1.現実を見る
「今はどうなっているのか」を、目の前の事実から捉えます。

2.ビジョンを描く
「どうなったらよいのか」「どのような未来を実現したいのか」を描きます。

3.知の成果を生み出す
調べて発表するだけでなく、誰かの役に立つ提案や方法を生み出します。

4.事実・真実を求める
AIやインターネットから得た情報をそのまま受け入れず、出典や現実と照らして確かめます。

5.人間が意思決定する
複数の情報や可能性を踏まえ、最後は人間が決めます。

6.全体を俯瞰する
部分だけでなく、関係、背景、プロセス、影響を含めて全体を捉えます。

この6つの中央にあるのが「意志」です。

PBL(プロジェクト学習)―未来を描き、現実から学ぶ

プロジェクトとは、未来を描き、その実現へ向かって進むことです。それを学びにしたものが、PBL(プロジェクト学習)です。

プロジェクト学習では、目の前の現実を見て課題を発見し、「こうなったらよい」というビジョンを描きます。そして、仲間とともに必要な情報を獲得し、総合的に考え、解決策を社会へ提案します。

個人の関心について調べて発表するだけではありません。

自分が好きなこと、関心を持ったことを、誰かの役に立つ「知の成果」へつなげます。

たとえば、カブトムシが好きな子どもであれば、カブトムシについて調べて発表するだけでなく、「自分たちの教室で、カブトムシを長く元気に飼う方法」を提案します。

教室の温度や風通し、餌、世話の方法など、目の前の現実から必要な情報を獲得し、「こうすればできる」という具体的な成果を生み出します。

【画像|資料1・2ページ「適応から創造へ―プロジェクト学習」】

プロジェクト学習の8つのフェーズ

鈴木敏恵のプロジェクト学習は、次の8つのフェーズで進みます。

1.準備
現地や現状を見て、課題を発見します。

2.ビジョン・ゴール
何のために取り組むのか、何を実現するのかを具体的にします。

3.計画
ゴールまでに必要な行動と時間を考えます。

4.情報・解決策
目的のために必要な情報を獲得し、事実を確かめながら解決策を考えます。

5.制作
提案や成果を、他者へ伝わる形にします。

6.プレゼンテーション
自分たちが生み出した「知の成果」を社会へ伝えます。

7.再構築
他者から受けたフィードバックを取り入れ、成果をさらによくします。

8.成長確認
自分が獲得した力、変化、成長を確認します。

プレゼンテーションで終わらず、他者の意見を取り入れて成果を再構築するところに、プロジェクト学習の大きな価値があります。

校長会講演記録|全3回

本講演の内容を、3つのテーマに分けて紹介しています。

● 第1回|AI活用ガイドライン・PBL・AI時代の「意志ある学び」
【このページのURL】

● 第2回|ポートフォリオ・評価・AI時代の教師の役割
【第2回のURL】

● 第3回|AI×学校防災・学校の災害リスクマネジメント
【第3回のURL】

講演を聞いた校長先生方の感想

講演終了後、校長先生方と、講演を手伝ってくださった水原さん、後藤さんに感想を伺いました。

AI活用ガイドライン、PBL、ポートフォリオ、学校防災を、それぞれの学校経営や教育実践へどう生かそうと考えたのか。講演直後の率直な言葉をご紹介しています。

▼校長先生方の感想はこちら