子どもたちの命を守る!生成AI×学校防災|学校平面図で地震リスク・避難計画を可視化 |鈴木敏恵
学校平面図や校内画像を生成AIに読み込ませ、地震発生時の危険箇所、避難経路、特別支援教室の個別避難支援などを可視化します。生成AIを学校防災・リスクマネジメントに活かす具体的な方法とプロンプトを紹介します。
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子どもたちの命を守る!生成AI×学校防災・リスクマネジメント
学校平面図と画像で地震リスク・避難計画を可視化
本資料は、2026年7月30日に開催された、茨城県学校長会・県東ブロック学校長研修会において、小学校・中学校の校長約60名を対象に、鈴木敏恵が講演した際の資料です。
講演テーマは、
「AI時代の羅針盤―意志ある学びをかなえるプロジェクト学習」
です。
講演では、プロジェクト学習やポートフォリオとともに、生成AIを学校経営や防災・危機管理に活かす具体的な方法を紹介しました。
このページでは、学校平面図や校内の画像を生成AIに読み込ませ、地震発生時の危険箇所、避難経路、教室ごとの対応、特別支援教室における個別避難支援などを可視化する方法と、実際に活用できるプロンプトを紹介します。
生成AIの提案を、そのまま正解として採用するものではありません。
AIの提案をもとに、教職員が実際の校舎を歩き、現実を確認し、対話し、改善する。
生成AIを、子どもたちの命を守る学校づくりに活かすための実践資料です。
生成AIを活用し、学校平面図から地震リスクを可視化する
【資料画像1をここに掲載】
学校平面図を生成AIに添付すると、部屋ごとの危険、避難経路、教員の声かけ、事前に必要な改善などを整理できます。
学校には、普通教室、特別支援教室、コンピューター室、家庭科室、理科室、図書室、体育館、給食室など、それぞれ異なる危険があります。
また、同じ教室でも、
- 授業中か休み時間か
- 児童・生徒は何人いるか
- 教員は何人いるか
- 家具や教材がどこにあるか
- 出入口や避難経路が確保されているか
によって、必要な対応は変わります。
AIに平面図だけを渡して「避難計画を作ってください」と依頼すると、一般的な回答になりがちです。
AIへ伝えるときには、
目的、対象、場所、状況、条件、出してほしい形式
を具体的に示すことが大切です。
部屋別の避難ガイドを作成するプロンプト
次のプロンプトは、自校の教室名、学年、児童・生徒数などに置き換えて活用できます。
添付した学校平面図をもとに、授業中に震度6弱以上の地震が発生した場合の、具体的な避難ガイド集を作ってください。
【目的】
児童が授業中に地震に遭遇した場合、教職員が部屋ごとに適切な初動対応を行い、安全に避難できるようにするためです。
【対象】
・2階コンピューター室
・2階普通教室1
・2階普通教室2
・2階普通教室3
・2階普通教室4
・2階家庭科室
各教室には、小学校3年生の児童と担任がいる想定です。
【対象とする時間】
地震発生直後から、揺れがおさまり、安全な避難場所へ移動するまで。
【出力してほしい内容】
各教室について、次の項目を表で整理してください。
1.想定される主な危険
2.揺れている間の行動
3.揺れがおさまった後の確認
4.避難を開始するときのポイント
5.避難経路で注意すること
6.教員の具体的な声かけ
7.事前に改善しておくこと
学校現場でそのまま検討できるように、簡潔で具体的に示してください。
平面図に地震時のリスクを書き込むプロンプト
【資料画像2をここに掲載】
学校平面図に危険箇所や避難経路を書き込むことで、教職員が学校全体を俯瞰しやすくなります。
添付した1階と2階の学校平面図をもとに、震度6弱以上の地震が発生した際に想定されるリスクを書き込んでください。
【確認する観点】
・家具、棚、テレビ、電子黒板などの転倒
・教材、照明、天井材などの落下
・窓ガラスの破損
・火災や煙の発生
・出入口の閉塞
・廊下や階段の混雑
・避難経路上の障害物
・各教室に固有の危険
危険箇所には番号を付け、それぞれについて短い説明を加えてください。
また、揺れがおさまった後に使用する避難経路を、分かりやすい矢印で示してください。
図面の後に、次の4項目を一覧表にしてください。
1.場所
2.想定されるリスク
3.危険である理由
4.必要な改善策
AIが示した危険箇所は、必ず教職員が実際の校舎を歩き、現地で確認します。
平面図だけでは分からない、
- 段差
- 扉の開閉方向
- 家具の固定状況
- 廊下に置かれた物
- ガラスの種類
- 実際の避難時の混雑
なども確認する必要があります。
特別支援教室の個別避難支援を考える
【資料画像3をここに掲載】
特別支援教室では、児童一人ひとりによって、地震発生時の反応が異なります。
例えば、
- 大きな音や揺れでパニックになりやすい
- 急に走り出しやすい
- その場で固まって動けなくなる
- 歩行に時間がかかる
- 短い声かけで落ち着くことができる
など、児童の状態を具体的に想定しておく必要があります。
また、通常、教員が1名で対応している場合には、児童から離れずに応援を呼ぶ方法や、隣接する教室との連携をあらかじめ決めておくことが重要です。
特別支援教室の避難支援プロンプト
添付した学校平面図をもとに、特別支援教室にいる児童5名を想定し、震度6弱以上の地震が発生した際に、子どもたちの命を守るための具体的な避難支援ガイドを作成してください。
【条件】
教員は通常1名です。
児童は、次の5名を仮定してください。
1.大きな音や揺れでパニックになりやすい児童
2.急に走り出しやすい児童
3.その場で固まって動けなくなりやすい児童
4.歩行がゆっくりで支援が必要な児童
5.教員の短い声かけで比較的落ち着ける児童
【対象とする時間】
地震発生直後から、揺れている間、揺れがおさまった後、教室から廊下・階段・出口を通り、校庭の安全な場所へ到着するまで。
【出力してほしい内容】
A.児童ごとに想定される状態
B.地震発生後、最初の30秒に行う支援
C.揺れがおさまった後の支援の優先順位
D.教員1名での安全確保と応援要請
E.廊下、階段、出口での注意
F.児童への具体的な声かけ
G.事前に行う環境整備
H.教職員間で共有する個別避難支援表
「早く避難すること」だけでなく、一人ひとりが安心して安全に避難できることを重視してください。
特別支援教室の環境整備を確認する
地震が発生してから考えるのではなく、日頃から環境を整えておくことが必要です。
地震から子どもの命を守る環境整備チェック
□ 教員1人で児童全員を見渡せる座席配置になっていますか。
□ 飛び出しやすい児童を、出入口のすぐ近くに座らせていませんか。
□ パニックになりやすい児童が安心できる場所を決めていますか。
□ 家具、ロッカー、本棚、テレビ、電子黒板などを固定していますか。
□ 児童の上に、教材や掲示物などが落下する配置になっていませんか。
□ 教室から出口までの避難動線に、荷物、箱、ワゴン、椅子などが置かれていませんか。
□ 教員が児童から離れずに応援を呼ぶ方法を決めていますか。
□ 隣接する教室や職員室との連携方法を共有していますか。
□ 児童一人ひとりの特性に応じた支援方法を、教職員と保護者が共有していますか。
□ 実際の特別支援教室から校庭まで移動する避難訓練を行っていますか。
教員は、児童全員を同時に支援できない場合があります。
児童そのものに順位を付けるのではなく、
- 飛び出しを防ぐ
- パニックに対応する
- 歩行を支援する
- 応援を要請する
など、緊急時の優先行動と対応順序を決めておくことが重要です。
校内の画像から危険箇所を発見する
【資料画像4をここに掲載】
学校平面図だけでなく、廊下、階段、昇降口、体育館、校庭などを撮影し、画像を生成AIに見せることもできます。
AIに画像を見せることで、
- 滑りやすい場所
- 通路をふさいでいる物
- 転倒しそうな家具
- 落下する可能性のある物
- 子どもの目線では見えにくい危険
- 避難時に混雑する可能性のある場所
などを、多角的に確認するための材料が得られます。
校内画像を確認するプロンプト
この写真の中で、小学生または中学生にとって危険になりそうな場所を指摘してください。
それぞれについて、次の項目を示してください。
1.危険の内容
2.危険である理由
3.地震発生時に起こる可能性があること
4.今すぐできる改善策
5.継続して確認すること
見落としがないように、子どもの目線、教職員の目線、避難時の目線から確認してください。
AIが示した危険箇所は、教職員会議や校内研修で共有します。
画像に印を付けながら、
- 本当に危険か
- 何を優先して改善するか
- 誰が担当するか
- いつまでに改善するか
を話し合うことで、学校全体の共通理解が進みます。
AIの回答を、学校で使える形にする追加プロンプト
AIの最初の回答だけで終わらず、さらに具体的な形へ展開できます。
教職員会議用の資料にする
今の内容を、教職員会議で5分間で共有できるA4一枚の資料にしてください。
見出しと箇条書きを使い、
・主な危険
・優先して改善すること
・教職員の役割
・確認する期限
が分かる形にしてください。
校内点検チェックリストにする
今の内容をもとに、校長、教頭、防災担当者が使う校内安全点検チェックリストを作ってください。
次の記入欄を付けてください。
・確認項目
・現在の状態
・改善が必要なこと
・担当者
・実施期限
・確認日
教員が1名の場合を再検討する
教員が1名で児童5名を支援する場合について、もう一度検討してください。
教員が児童から離れずに応援を呼ぶ方法、隣接する教室との連携、最初に行う安全確保、支援の優先順位を具体的に示してください。
教員の声かけを共通化する
地震発生時、児童を急がせたり不安にさせたりしない、短く安心できる声かけを場面別に10例作ってください。
場面は、
・揺れ始めたとき
・揺れている間
・揺れがおさまった後
・避難を始めるとき
・校庭へ到着した後
に分けてください。
通学路の安全を、子どもたちのプロジェクト学習へ
【資料画像5をここに掲載】
生成AIを活用した安全点検は、学校経営だけでなく、子どもたちのプロジェクト学習にも展開できます。
テーマ例は、
「自分の命は自分で守ろう―通学路安全プロジェクト」
です。
子どもたちが実際に通学路を歩き、
- 危険箇所を撮影する
- 地図に位置を示す
- 地域の方や保護者へ話を聞く
- 過去の事故や災害の情報を調べる
- 危険の原因を考える
- 安全マップや改善提案を制作する
- 地域や保護者へ伝える
という展開ができます。
子ども自身が、現実を見て、情報を獲得し、危険を考え、より安全な未来を提案します。
これは、自分の命を守る力と、地域の安全へ働きかける力を身につけるプロジェクト学習です。
AIを使うときに必ず確認すること
生成AIは、学校や児童・生徒の実際の状況を完全に理解しているわけではありません。
AIの回答を採用する前に、次のことを確認します。
□ 実際の家具や設備の配置と一致していますか。
□ 非常口、廊下、階段、避難経路は使用できますか。
□ 図面では分からない段差、扉、障害物はありませんか。
□ 児童・生徒一人ひとりの実態に合っていますか。
□ 教員数や応援体制は現実に即していますか。
□ 学校の防災計画や地域の避難計画と矛盾していませんか。
□ 学校名、児童・生徒名、診断名などの個人情報を入力していませんか。
□ 最終判断を行う人、改善の担当者、実施期限を決めていますか。
AIは、考えることや判断を委ねる相手ではありません。
学校平面図や画像と現実を結び、危険を俯瞰し、教職員の対話と意思決定を進めるイネーブラーです。
AIの提案をきっかけに現地を歩き、改善し、訓練することが、子どもたちの命を守ります。
講演・未来教育デザイン
鈴木敏恵
シンクタンク未来教育ビジョン代表
一級建築士・未来教育デザイナー
主な歴任
内閣府中央防災会議専門委員
国立大学法人 千葉大学教育学部 特命教授
東北大学・放送大学 非常勤講師(専門:心理と教育)
先進的教育ネットワークモデル地域事業 企画評価委員
文部科学省・総務省連携プロジェクト
主な著書
鈴木敏恵(2017)
『AI時代の教育と評価―意志ある学びをかなえるプロジェクト学習・ポートフォリオ・対話コーチング』教育出版
鈴木敏恵(2023)
『DXとポートフォリオで未来教育―対話でかなえる学びとキャリアのデザイン』日本看護協会出版会
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「AIを活用した学校のリスクマネジメント」講演資料
学校平面図を活用した地震リスクの可視化、特別支援教室の個別避難支援、校内画像を活用した安全点検、具体的な生成AIプロンプトを掲載しています。
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生成AI/学校防災/学校安全/リスクマネジメント/危機管理/地震対策/避難計画/教育DX/特別支援教育/学校経営