2025年10月31日

[4] AI×プロジェクト学習【情報・解決策】フェーズ— Information& Solution【PBLマトリックス(4)】

※本資料は著作の草稿をもとに再構成したものです。無断転載・複製を禁じます。

 

フェーズ4:[情報・課題解決策] Information& Solution― 情報を手に入れ課題解決策を考え出す

AI × Project-Based Learning — Information & Solution Phase

プロジェクト学習(PBL)は「現実から課題を見出す」準備フェーズから始まり、ビジョン・計画・制作・プレゼン・再構築を経て、成果と自己成長を確認するプロセスです。


1. PBL基本フェーズ図・目的・意味・価値

目的:
課題を的確に理解し、必要な情報を多面的に収集して、最も現実的で創造的な解決策を考案する段階。

意味:
AI時代の教育において「情報をどう得てどう活かすか」を学ぶ中核フェーズ。
単なる検索や知識習得ではなく、“情報を手段として思考を深める”プロセスを重視する。

価値:

  • 学びを「現実の解決」に接続する知的行動力を育む。
  • 情報リテラシーと創造力を統合した「課題解決力」を身につける。
  • AIが示す多様な視点を人間の意思で取捨選択し、“判断”として結実させる。

2. 主な活動

  • 文献調査、専門家インタビュー
  • 類似事例・異分野事例の比較分析
  • ブレインストーミング、デザインシンキングによるアイデア創出
  • プロトタイピング(試作品づくり)と検証
  • SWOT分析、マインドマップ、ビジネスモデルキャンバスの活用
  • 課題解決シートへの思考整理とリスク分析

3. AI活用の具体例

分野 ツール・手法 プロンプト例
情報収集 ChatGPT, Perplexity, Bing Copilot 「〇〇についての信頼できる情報源を教えてください」「このテーマの国内外の最新事例を3つまとめてください」
アイデア発想 ChatGPT, NotebookLM, Gemini 「この課題を異なる視点で考えるとどんな解決策があり得ますか?」「ブレインストーミングのように5つのアイデアを出してください」
類似事例分析 Claude, Elicit, ResearchRabbit 「このアイデアに似た事例の成功要因と課題を比較してください」
データ整理・要約 ChatGPT, Notion AI, Perplexity 「集めたデータを3つの視点で要約してください」
解決策設計 ChatGPT + DALL·E(図示) 「この課題に対して実行可能な解決策を3つ提案してください」「それぞれの解決策のリスクを挙げてください」

4. 対話コーチングの言葉

  • 「そのために必要な情報は?」
  • 「その解決策の他に考えた(候補になった)解決策を聞かせて」
  • 「その解決策の根拠は?」
  • 「その解決策を実現する際のネックは?」
  • 「その解決策に関連する人々は誰?」
  • 「その解決策に関連する法律は?」
  • 「その解決策のリスクは?」
  • 「異なる立場の人なら、この解決策をどう見るでしょう?」

5. ポートフォリオの内容

  • 情報収集リストとその出典、信頼性の評価
  • 課題発見シート・思考メモ・関連図
  • アイデアスケッチ・メモ
  • 解決策候補と選択理由、意思決定プロセス
  • 検討中に生まれた新たな発見や課題
  • AIとのやりとりログ(生成内容と自分の評価コメント)

6. [未来教育ー6つのスピリット]との位置付け

スピリット 関連する学びの姿
① 現実直視 現場・社会のリアルな情報をもとに課題をとらえる。
② ビジョン 解決策の方向性をビジョンと照らし合わせて考える。
③ 知の成果 他者に役立つ、根拠ある“知の提案”を生み出す段階。
④ 事実・真実希求 信頼できる一次情報・多面的視点から判断する力。
⑤ 意思決定 AIの提示を吟味し、自らの判断で最終案を選択する。
⑥ 俯瞰 情報・思考プロセスをポートフォリオで客観的に振り返る。

🔶まとめ

「情報・課題解決策」のフェーズは、AI時代における“情報を扱う知性”を育てる中核。
AIが情報を提示し、人間がその中から本質を見抜く——この共同作業こそが「意志ある学び」の実践である。
ポートフォリオはその“思考の軌跡”を可視化し、次の【制作】フェーズへの橋渡しとなる。