[4] AI×プロジェクト学習【情報・解決策】フェーズ— Information& Solution【PBLマトリックス(4)】
※本資料は著作の草稿をもとに再構成したものです。無断転載・複製を禁じます。
フェーズ4:[情報・課題解決策] Information& Solution― 情報を手に入れ課題解決策を考え出す
AI × Project-Based Learning — Information & Solution Phase
プロジェクト学習(PBL)は「現実から課題を見出す」準備フェーズから始まり、ビジョン・計画・制作・プレゼン・再構築を経て、成果と自己成長を確認するプロセスです。
1. PBL基本フェーズ図・目的・意味・価値
目的:
課題を的確に理解し、必要な情報を多面的に収集して、最も現実的で創造的な解決策を考案する段階。
意味:
AI時代の教育において「情報をどう得てどう活かすか」を学ぶ中核フェーズ。
単なる検索や知識習得ではなく、“情報を手段として思考を深める”プロセスを重視する。
価値:
- 学びを「現実の解決」に接続する知的行動力を育む。
- 情報リテラシーと創造力を統合した「課題解決力」を身につける。
- AIが示す多様な視点を人間の意思で取捨選択し、“判断”として結実させる。
2. 主な活動
- 文献調査、専門家インタビュー
- 類似事例・異分野事例の比較分析
- ブレインストーミング、デザインシンキングによるアイデア創出
- プロトタイピング(試作品づくり)と検証
- SWOT分析、マインドマップ、ビジネスモデルキャンバスの活用
- 課題解決シートへの思考整理とリスク分析
3. AI活用の具体例
| 分野 | ツール・手法 | プロンプト例 |
|---|---|---|
| 情報収集 | ChatGPT, Perplexity, Bing Copilot | 「〇〇についての信頼できる情報源を教えてください」「このテーマの国内外の最新事例を3つまとめてください」 |
| アイデア発想 | ChatGPT, NotebookLM, Gemini | 「この課題を異なる視点で考えるとどんな解決策があり得ますか?」「ブレインストーミングのように5つのアイデアを出してください」 |
| 類似事例分析 | Claude, Elicit, ResearchRabbit | 「このアイデアに似た事例の成功要因と課題を比較してください」 |
| データ整理・要約 | ChatGPT, Notion AI, Perplexity | 「集めたデータを3つの視点で要約してください」 |
| 解決策設計 | ChatGPT + DALL·E(図示) | 「この課題に対して実行可能な解決策を3つ提案してください」「それぞれの解決策のリスクを挙げてください」 |
4. 対話コーチングの言葉
- 「そのために必要な情報は?」
- 「その解決策の他に考えた(候補になった)解決策を聞かせて」
- 「その解決策の根拠は?」
- 「その解決策を実現する際のネックは?」
- 「その解決策に関連する人々は誰?」
- 「その解決策に関連する法律は?」
- 「その解決策のリスクは?」
- 「異なる立場の人なら、この解決策をどう見るでしょう?」
5. ポートフォリオの内容
- 情報収集リストとその出典、信頼性の評価
- 課題発見シート・思考メモ・関連図
- アイデアスケッチ・メモ
- 解決策候補と選択理由、意思決定プロセス
- 検討中に生まれた新たな発見や課題
- AIとのやりとりログ(生成内容と自分の評価コメント)
6. [未来教育ー6つのスピリット]との位置付け
| スピリット | 関連する学びの姿 |
|---|---|
| ① 現実直視 | 現場・社会のリアルな情報をもとに課題をとらえる。 |
| ② ビジョン | 解決策の方向性をビジョンと照らし合わせて考える。 |
| ③ 知の成果 | 他者に役立つ、根拠ある“知の提案”を生み出す段階。 |
| ④ 事実・真実希求 | 信頼できる一次情報・多面的視点から判断する力。 |
| ⑤ 意思決定 | AIの提示を吟味し、自らの判断で最終案を選択する。 |
| ⑥ 俯瞰 | 情報・思考プロセスをポートフォリオで客観的に振り返る。 |
🔶まとめ
「情報・課題解決策」のフェーズは、AI時代における“情報を扱う知性”を育てる中核。
AIが情報を提示し、人間がその中から本質を見抜く——この共同作業こそが「意志ある学び」の実践である。
ポートフォリオはその“思考の軌跡”を可視化し、次の【制作】フェーズへの橋渡しとなる。

