[5] AI×プロジェクト学習【制作】フェーズ— Production【PBLマトリックス(5)】
※本資料は著作の草稿をもとに再構成したものです。無断転載・複製を禁じます。
フェーズ5:[制作] Production― プレゼンのための制作
AI × Project-Based Learning — Production Phase
プロジェクト学習(PBL)は「現実から課題を見出す」準備フェーズから始まり、ビジョン・計画・制作・プレゼン・再構築を経て、成果と自己成長を確認するプロセスです。
1. PBL基本フェーズ図・[制作]フェーズの目的・意味・価値
目的:
アイデアや課題解決策を“形”にして表現し、社会や他者に伝わる成果として具現化する段階。
意味:
抽象的な思考を、具体的・視覚的な表現へと変換することで「思考の構造化」「知の共有」「協働的創造」を促す。
価値:
・プロジェクトの成果を可視化することで、学びの達成感と自信を得る。
・表現力・論理的構成力・デザイン的思考を同時に育む。
・他者と知を共有し、社会に向けて発信できる力を高める。
2. 主な活動
- 成果物制作
- レイアウトや構成の検討(現状→ありたい姿→課題→解決策→具体策)
- ストーリーテリングを意識したビジュアル構築
- 完成後、「凝縮ポートフォリオ」として構造化・整理
3. AI活用の具体例
主要ツール
- Canva / Adobe Express:ポスター・スライドの自動デザイン提案
- ChatGPT / NotebookLM:説明文の構成・要約・ストーリーテリング支援
- DALL·E / Midjourney:イラスト・画像生成
- Runway / Kaiber:動画生成・編集
- Figma / Sketch / 3D生成AI(Sora・3DFY.aiなど):プロトタイプ作成
プロンプト例
- 「このテーマ(例:地域のゴミ問題)を伝えるポスター案を提案してください」
- 「この課題解決策を説明するインフォグラフィックの構成を考えてください」
- 「よりシンプルで効果的なプレゼン資料構成を提案してください」
- 「プロトタイプの改善点と、ユーザーに伝わる表現を教えてください」
活用の方向
- デザイン支援AI:構図・配色・フォント提案
- プロトタイプ生成AI:3Dモデル・UI構成提案
- 画像編集AI:補正・背景除去・視覚効果強化
- ナラティブ構築AI:ストーリーテリング、UX観点からの再構成
4. 対話コーチングの言葉
- 「この成果物は“誰”に“何”を伝えたいのか?」
- 「見る人にどう感じてほしい?その意図が伝わる形になっている?」
- 「完成して“終わり”ではなく、“伝わった”ときが成果だね」
- 「この形にする過程で、自分の考えはどう変わった?」
- 「チームでの意見をどう取り入れた?」
5. ポートフォリオの内容
- 成果物のビジュアル(写真・画像)+制作意図の記述
- 現状→ありたい姿→課題→解決策→成果の段階的構成
- デザイン構成図、インフォグラフィック、動画リンクなどの添付
- 凝縮ポートフォリオ:
- 文章・図・レイアウトが一体となった「知の構造化ドキュメント」
- 視覚的に分かりやすく、第三者に伝わる形で整理された最終成果
6. [未来教育ー6つのスピリット]との位置付け
| スピリット | 制作フェーズでの具体的意味 |
|---|---|
| ① 現実直視 | 現実の課題を具体的に“形”にすることで、問題の本質を可視化。 |
| ② ビジョン | ビジョンや願いを社会に伝える“表現”として具現化。 |
| ③ 知の成果 | 他者に役立つ形でアウトプット化し、知の共有を実現。 |
| ④ 事実・真実希求 | 根拠ある情報・データに基づく表現で信頼性を確保。 |
| ⑤ 意思決定 | 何をどのように表現するか、自ら判断し決定する力。 |
| ⑥ 俯瞰 | 完成物を通して、自分の考えやチームの成果を客観的に見つめ直す。 |
💡まとめ
制作フェーズは「プロジェクトの知を形にし、社会に発信するステージ」。
AIは“創造の支援者”として、構想・表現・改善の各段階において人間の意志を拡張する存在となる。
ポートフォリオにおいては、最も“知が可視化される瞬間”であり、未来教育6つのスピリットが総合的に現れるフェーズといえる。

