[6] AI×プロジェクト学習【プレゼンテーション】フェーズ— Presentation【PBLマトリックス(6)】
※本資料は著作の草稿をもとに再構成したものです。無断転載・複製を禁じます。
フェーズ6「プレゼンテーション(Presentation)ー共有
AI × Project-Based Learning — Presentation Phase
プロジェクト学習(PBL)は「現実から課題を見出す」準備フェーズから始まり、ビジョン・計画・制作・プレゼン・再構築を経て、成果と自己成長を確認するプロセスです。
1. PBL[プレゼンテーション]フェーズの目的・意味・価値
目的:
自らの成果や考えを「他者に伝え、共有する」ことを通じて、知を社会に開く段階。
発表は単なるまとめではなく、学びの意味を他者に伝え、共感・対話を生み出す“知の共有プロセス”である。
意味・価値:
- 聴き手の理解と共感を得ることによって、自分の思考を客観的に整理できる。
- 知識を「他者のための知」へと転換する力が養われる。
- コミュニケーション力・表現力・構成力・即興対応力が統合的に育つ。
- PBL全体の中で「社会的アウトプット=知の成果」を可視化する最終段階。
2. 主な活動
- スクリプト作成:
伝えたいメッセージを整理し、論理的構成でストーリーを組み立てる。 - スライド制作:
視認性・シンプルさ・情報整理を重視したプレゼン資料の作成。 - 発表練習:
話し方・姿勢・間・声の使い方・アイコンタクトなどを練習。 - Q&A対応:
想定質問を準備し、臨機応変に応じる力を養う。 - フィードバック共有:
聴衆・教員・AIからの意見を受けて、改善点を整理する。
3. AI活用の具体例(ツール名・プロンプト例)
ツール例:
- ChatGPT/Gemini/Claude:スクリプト構成・質問生成・表現改善支援
- Canva/Beautiful.ai/Gamma:スライド構成の提案
- Tome/Pitch:AIスライド生成
- Notta/Whisper:話し方分析、リハーサル録音の文字起こし・改善
- ChatGPT+音声機能:発声や抑揚の練習支援
プロンプト例:
- 「このプロジェクトの成果を紹介する構成を提案してください。」
- 「この原稿をより説得力のあるプレゼン原稿に改善してください。」
- 「聴衆に響く話し方のポイントを教えてください。」
- 「このテーマについて想定質問と回答案を10個作成してください。」
- 「発表の練習に使えるリハーサルチェックリストを作ってください。」
4. 対話コーチングの言葉
- 「このプレゼンで一番伝えたい“想い”は何ですか?」
- 「聴き手が“受け取る”姿をイメージして話してみましょう。」
- 「言葉ではなく“エネルギー”で伝わっていますか?」
- 「あなたの成果を社会にどうつなげたいですか?」
- 「伝えることは“終わり”ではなく、“次の共創”の始まりです。」
5. ポートフォリオの内容
- 凝縮したスライド構成案・スクリプト原稿
- 話し方や構成の改善メモ、AIからのフィードバック記録
- 発表当日の映像・音声データ(振り返り用)
- 他者評価・自己評価シート
- 発表で得た助言や称賛コメントの記録
- 次回プレゼンに向けた改善計画
これらを「凝縮ポートフォリオ」として整理し、成長を可視化する。
6. [未来教育―6つのスピリット]との位置付け
| スピリット | プレゼンテーションとの関係 |
|---|---|
| 1. 現実直視 | 聴衆の現実や社会状況を理解し、リアルな課題意識を持って伝える。 |
| 2. ビジョン | 自分の目的・価値・使命を明確にし、言葉と表情で表現する。 |
| 3. 知の成果 | プロジェクトで得た知を“社会に役立つ形”で発信し、知の共有を行う。 |
| 4. 事実・真実希求 | 根拠ある情報やデータをもとにプレゼン構成を行い、信頼性を高める。 |
| 5. 意思決定 | 限られた時間で何を伝えるか選択・決断する力を育む。 |
| 6. 俯瞰 | AIとの対話や他者からのフィードバックを通して、自分の表現を客観視する。 |
🔹まとめ
プレゼンテーションは「伝える」段階にとどまらず、“知を社会に開く”フェーズです。
AIはその過程を支援する“パートナー”として、表現・構成・練習・評価までをトータルに補助します。
対話コーチングとポートフォリオを併用することで、「伝える力=共創する力」へと進化させることができます。
