AI×Vibe教育(7)実践:命と身体を大切にする──プロジェクト学習
すずきとしえ 鈴木敏恵 Suzuki Toshie の草稿の一部
(バイブ・コーディングと未来教育)
第7回 命と身体を大切にする──防災プロジェクト学習とライフプロジェクト学習
◆リード文
未来教育は、机上やインターネット空間に閉じた学びではありません。躍動する現実空間をステージに、人間が生きていることそのものをテーマに展開される学びです。その代表が、私が日本で初めて実施し、世の中に広がった「防災プロジェクト学習」と「ライフプロジェクト学習」です。命や身体という大切なものを扱うこの実践は、すべての学校や子どもたちに広がってほしいと願っています。
◆防災プロジェクト学習──命を守る学び
2001年、高知県で子どもたちと共に行った防災プロジェクト学習は、未来教育プロジェクト学習の出発点となりました。
子どもたちは「災害が起きたらどうするか」を机上で学ぶのではなく、実際の地域や自分たちの生活を舞台に、自分の頭で考え、行動しました。その過程で生まれたのは、「他者に役立つ知の成果物」──地域にとって意味を持つ防災のアイディアや行動指針でした。
これはまさに「リアル空間をステージにする未来教育」の象徴です。知識を積み上げるのではなく、生きる現実に飛び込み、命を守るために学ぶ。この学びの価値は、今なお普遍的です。
◆ライフプロジェクト学習──命を育む学び
もう一つの代表が「ライフプロジェクト学習」です。テーマは「自分の命や身体を大切にすること」。健康、食、運動、睡眠など、生きるための基本的な要素を学び、日常生活の中で実践していくプロジェクトです。
これは「生きる力」をそのまま学びに変える試みです。健康を整えることは未来を生きる力の源であり、その自覚と実践を学生のうちに持つことは何より価値が大きいと私は考えています。
◆「リアル」をステージにする価値
防災も健康も、すべては現実の中に存在するテーマです。未来教育のプロジェクト学習は、こうしたリアル空間を舞台にしてこそ真価を発揮します。
揺らぎ、予測不可能さ、生命のリズム──それらを含む現実の中でこそ、子どもたちは自分の頭で考え、仲間と協働し、未来をより良くする知恵を生み出します。
◆結び──すべての子どもたちに
防災プロジェクト学習とライフプロジェクト学習は、未来教育がめざす「バイブ・エデュケーション」の実践モデルです。
机上ではなく現実のステージで、命や身体というかけがえのないものをテーマにする。この学びは、子どもたちの人生に直結し、社会にとっても大きな意味を持ちます。
私は、この実践がすべての学校や子どもたちに広がってほしいと願っています。教育の目的は、知識の積み重ねではなく、生きることそのものを大切にすることだからです。
[参考]
「バイブ・コーディング(Vibe Coding)」とは、正式な専門用語というよりも最近注目されている表現で、特に生成AIを使った新しいプログラミングのスタイルを指すことが多いです。
従来の「コーディング」は仕様を決めて、アルゴリズムを設計し、コードを手で書いていくプロセスでした。
一方で「バイブ・コーディング」は、
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AIと対話しながら
仕様や実装を細かく詰めるのではなく、「こんな雰囲気で作りたい」「こういう感じのアプリ」という**感覚(バイブ、vibe)**を伝える。 -
即時的に試す
AIが生成したコードを動かし、出てきた結果を見ながら「もう少しこう」「ここを明るい感じに」と修正していく。 -
完成度より体験重視
最初から正確に仕上げるというより、短時間でプロトタイプを形にし、**“雰囲気を共有する”**ことを重視する。
つまり、
🔹「AIと一緒にライブ感覚でコードを作っていく」
🔹「厳密な仕様書ではなく“バイブ(雰囲気や感覚)”を起点にする」
という特徴を持つスタイルです。
これは、デザイナーや教育者、エンジニア以外の人でも直感的にアプリやシステムを試作できる方法として注目されています。