2025年09月09日

AI×Vibe教育(5)──バイブ・シラバスの提案 「バイブ・シラバス」という提案(ビジョンから始まる教育設計)

すずきとしえ 鈴木敏恵 Suzuki Toshie の草稿の一部

(バイブ・コーディングと未来教育)


第5回 「バイブ・コーディング」から「バイブ・シラバス」へ──AIが可能とさせる未来教育への飛躍


◆リード文

AIの進化によって、「学びの設計」そのものが変わろうとしています。これまでのシラバスは、細かい単元を順序立てて積み上げていく「直線的な道筋」でした。しかしAI時代のいま、必要なのは全体像を最初に示し、学び手のワクワクや生命感を起点にする「バイブ・シラバス」です。本稿では、バイブ・コーディングから教育デザインへの飛躍について考えます。


◆「バイブ・コーディング」が示したもの

バイブ・コーディングは、AIと人間が雰囲気(vibe)を共有しながら創造を進める新しいスタイルでした。

  • 仕様ではなく「雰囲気」から始める

  • 完成形を描きながら試行錯誤する

  • 未完成を許容しつつ全体像に近づいていく

このアプローチは、従来の「積み木型の直線的学び」とはまったく異なる、人間の感覚に近い方法論です。


◆教育の設計=シラバスにも“バイブ”を

従来のシラバスは、単元や授業を並べ、基礎から応用へと段階的に積み上げるものでした。けれども、それでは学び手に未来の景色が見えないままです。

「バイブ・シラバス」がめざすのは逆です。

  • まず最初にビジョンやゴール、全体像を提示する

  • 学びの雰囲気(vibe)を共有する

  • そこへ向かう道筋は柔軟に変えながら進める

つまり、学びの出発点を「全体を見渡す感覚」に置くシラバスです。


◆AIが可能にした飛躍

AIの進化は、この「バイブ・シラバス」を現実のものにしています。生成AIは「ゴールを言葉で伝える」だけで、そのための知識や方法を提案してくれる。学び手と対話しながら柔軟に道筋を再構成できる。

従来は教員だけがカリキュラムを設計していましたが、AIの存在によって**学び手自身が「シラバスの共同設計者」**になれるのです。これは教育にとって大きな飛躍です。


◆未来教育としての意味

バイブ・シラバスは、「意志ある学び」を起点にしています。

  • ゴールを胸に描く

  • 全体像を見ながら進む

  • 試行錯誤を経て知の成果をつくり出す

これはまさに、私が未来教育として提案してきたプロジェクト学習(PBL)の姿です。AIと人間が協働し、リアルな空間で新しい価値を生み出す。その設計図が「バイブ・シラバス」なのです。


◆結び──飛躍の先にあるもの

「バイブ・コーディング」から「バイブ・シラバス」へ。
AIは、人間の感覚に近づきながら、教育デザインそのものを変える力を持っています。

未来教育が描くのは、単元の積み重ねではなく、全体像とビジョンから始まる学び。その飛躍を可能にするのが、AIと共に創る「バイブ・シラバス」なのです。





[参考]

「バイブ・コーディング(Vibe Coding)」とは、正式な専門用語というよりも最近注目されている表現で、特に生成AIを使った新しいプログラミングのスタイルを指すことが多いです。

従来の「コーディング」は仕様を決めて、アルゴリズムを設計し、コードを手で書いていくプロセスでした。
一方で「バイブ・コーディング」は、

  • AIと対話しながら
    仕様や実装を細かく詰めるのではなく、「こんな雰囲気で作りたい」「こういう感じのアプリ」という**感覚(バイブ、vibe)**を伝える。

  • 即時的に試す
    AIが生成したコードを動かし、出てきた結果を見ながら「もう少しこう」「ここを明るい感じに」と修正していく。

  • 完成度より体験重視
    最初から正確に仕上げるというより、短時間でプロトタイプを形にし、**“雰囲気を共有する”**ことを重視する。

つまり、
🔹「AIと一緒にライブ感覚でコードを作っていく」
🔹「厳密な仕様書ではなく“バイブ(雰囲気や感覚)”を起点にする」
という特徴を持つスタイルです。

これは、デザイナーや教育者、エンジニア以外の人でも直感的にアプリやシステムを試作できる方法として注目されています。