2025年09月09日

AI×Vibe教育(4)リアル空間に息づく“バイブ”──未来教育のステージは リアル空間=バイブ(生命感と空間知性)

すずきとしえ 鈴木敏恵 Suzuki Toshie の草稿の一部

(バイブ・コーディングと未来教育)


第4回 リアル空間に息づく“バイブ”──未来教育のステージとは


◆リード文

未来教育のステージは、机上の学びやインターネット空間の中だけにあるものではありません。私が当初から一貫して提案しているのは、現実の空間=リアルな空間を舞台にしたプロジェクト学習です。そこにこそ人間の「空間知性」が躍動し、生命のエネルギーとしての“バイブ”が存在するのです。今回は、未来教育と「リアル空間」「バイブ」の関係についてお話しします。


◆リアル空間は積み木ではない

従来の教育は、知識や技能を積み木のように静的に積み重ねていくモデルを前提としてきました。しかし現実の世界は、そんなに整然としてはいません。社会も自然も、動的で、揺らぎを含み、生命のリズムと共に変化しています。

つまり、リアル空間そのものが「バイブ」なのです。そこには予測不可能な出来事があり、人の感情が揺れ、自然の力が働き、社会が常に動いている。積み木のような安定した直線的学びではなく、生きている空間での学びが必要なのです。


◆未来教育のステージは“現実”

未来教育プロジェクト学習は、このリアルな空間をステージとしています。インターネットや机上の学びも大切ですが、それはあくまで道具や補助的なもの。教育の本質は「生命と社会が躍動している現場」にあるのです。

子どもたちや学生がプロジェクトを通して現実社会に触れるとき、そこにある“生きたバイブ”を感じます。街のにぎわい、自然の息吹、人との出会い──これらがすべて学びの源泉となり、学習は単なる情報処理ではなく生きることそのものに結びつきます。


◆バイブ=人間のエネルギーと社会のリズム

私は「バイブ」という言葉に、人間が生きていることの象徴を感じています。

  • 子どもたちが社会に羽ばたいていくときの躍動感

  • 人と人との対話から生まれる共鳴

  • 社会全体が持つ見えないリズム

これらはすべて「バイブ」です。そして教育も、このバイブを欠いては成り立ちません。なぜなら教育は、人間を育てる営みであり、人間とは感覚・エネルギー・揺らぎの存在だからです。


◆空間知性と未来教育の必然

空間知性とは、全体を俯瞰しながら自分の位置を把握し、未来への動きを設計する力です。それは平面ではなく、立体的・動的に空間を感じ取る力です。

未来教育がリアル空間をステージに据えるのは、この空間知性を最大限に生かすためです。現実の空間こそが、学び手に「全体を見渡す力」と「自ら動く力」を与えます。


◆結び──教育にバイブを

社会はバイブです。自然もバイブです。そして人間もまたバイブを生きています。だからこそ教育も「バイブ」を必要としています。

未来教育がめざすのは、リアル空間に息づくバイブを学びに取り込み、人間らしい学びを創造することです。静的な積み上げではなく、動的で生命感あふれる学び──それこそがポストDX時代における教育の新しい姿なのです。



[参考]

「バイブ・コーディング(Vibe Coding)」とは、正式な専門用語というよりも最近注目されている表現で、特に生成AIを使った新しいプログラミングのスタイルを指すことが多いです。

従来の「コーディング」は仕様を決めて、アルゴリズムを設計し、コードを手で書いていくプロセスでした。
一方で「バイブ・コーディング」は、

AIと対話しながら
仕様や実装を細かく詰めるのではなく、「こんな雰囲気で作りたい」「こういう感じのアプリ」という**感覚(バイブ、vibe)**を伝える。

即時的に試す
AIが生成したコードを動かし、出てきた結果を見ながら「もう少しこう」「ここを明るい感じに」と修正していく。

完成度より体験重視
最初から正確に仕上げるというより、短時間でプロトタイプを形にし、**“雰囲気を共有する”**ことを重視する。

つまり、
🔹「AIと一緒にライブ感覚でコードを作っていく」
🔹「厳密な仕様書ではなく“バイブ(雰囲気や感覚)”を起点にする」
という特徴を持つスタイルです。

これは、デザイナーや教育者、エンジニア以外の人でも直感的にアプリやシステムを試作できる方法として注目されています。