2025年09月03日

連載:Gakken 教育ジャーナル Vol.30 「AI×キャリア教育」で未来を広げる! ─ Notebook LMで「好き」から始める学び

 

「将来の夢は何?」という問いかけは、時に子どもたちを悩ませます。しかしいま好きなことは?には「ゲーム!」「うーん動物かな」など言ってくれます。好きなことや関心あることは、未来へイキイキと向かうキャリア教育を考えるヒントにも源泉力にもなります、この実践に生成AIが活きます。例えばGoogleのAI「Notebook LM」は、子どもたちの“好き”なことと未来をつなげる個別最適な学びを可能にします。今回はAIを活用したキャリア教育を具体的にお伝えします。

一級建築士・次世代教育クリエーター・国立大学法人北海道教育大学[教職論 PBL]特別講師(2023)。「意志ある学び」を理念に教育の未来化を先導。ポートフォリオ・プロジェクト学習の第一人者。【公職歴】内閣府中央防災会議専門委員・千葉大学特命教授・東北大学非常勤講師等。著作『AI 時代の教育と評価』『プロジェクト学習の基本と手法』教育出版/『DX と ポートフォリオで未来教育』日本看護協会出版会/『これじゃいけなかったの !? 総合的な学習―これが成功戦略 !! ポートフォリオ評価プロジェクト学習』Gakkenほか

https://gakkokyoiku.gakken.co.jp/journal_category/k-journal/

https://suzuki-toshie.net/gakken-well-being/


 

■ AIで未来教育<動画・音声解説>  Notebook LM × キャリア教育→ https://suzuki-toshie.net/news/6559/

■ AI活用<授業案>  Notebook LM × キャリア教育→ https://suzuki-toshie.net/news/6547/

■ 【AI×教育】「好き」を仕事にする!NotebookLMで実現する“意志ある学び”キャリア教育の最新戦略

■ <動画>Notebooklm によるキャリア教育 動画で説明↓ https://youtu.be/2Cb7Bgi_z1c

「好き」から世界を広げるキャリア教育
従来のキャリア教育は、「職場体験」や「仕事」について調べてみよう!ということが中心でした。どれも子どもたちにとって有効ではありますが、 ”部分の捉え”になりがちです。 
まして社会の変化が加速し、今の子どもたちが将来出会う仕事の多くは、現在まだ存在していないとも言われているのが現状です。この状況下、これからのキャリア教育は「子どもたちに将来の選択肢の広さと、未来への意欲をどう持たせるか」が鍵と言えるでしょう。
しかし多忙な先生が多種多様な仕事や生き方を把握したり、職業の幅広さや可能性を伝えるには限界があります、ここに生成AIが役立ちます。
ここでは今話題のGoogleのAI「Notebook LM」を活かす、キャリア教育の実践を紹介します。このAIツールの特徴は、「考えや思い」が決まっていない子でも、たった3語ほど入力するだけで、関連する仕事やヒントになる情報を自動的に集め、同時に[要約テキスト]や[音声解説][マインドマップ]までもが生成され、オリジナルな提案を即座に提供してくれるところにあります。
A I × キャリア教育の実践
ここからAIを生かした、子どもの「好き」
を先端的な学習に結びつける実践を紹介します。
キャリア教育の三つの要素(目的・関心・対象)をロン プに含めることを伝えます。
ステップ1.AI活用
 子どもがAIとの対話を通して、自分の思いや考えを言葉にすることから始めます。
ステップ2.支援(教師)
 教師は自分の操作を見せつつ、次のように伝えます。「今回の例・仕事に関して」ですが、学校6年生に問いを投げかけてみました。「仕事=働くこと」と関心のあること、「好き」ということに入ってつること。続いて、自分が好きなことと関心のあること、最後に回答を求めるということで、小学校6年生に「仕事」に関して回答を求めてみました。
ステップ3.未来へ
 子どもが「仕事・働くこと」に関する自分思いや考えを言葉にすることから始めます。
授業の導入では、「仕事ってなんだろう?」「仕事と生き方ってどうつながっているだろう?」という問いかけを話してから始めます。仕事へのイメージを身近に捉えることから始めます。
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* AIを使い始める時に、AIとの対話に不可欠な「プロンプト」 の基本を身につけるようにします。
[プロンプトを学ぶ] 
この授業では、子どもたちがAIとの上手な付き合い方を学ぶため、次の3つの要素(目的、関心、対象)をプロンプトに含めることを伝えます。 

[AI活用の重要なルール]
「プロンプトに限らずネットを使うときには、個人情報(名前・住所・電話番号・学校名・顔写真など)を絶対に入力しないこと——インターネットに一度出た情報は消すのが難しく、悪用される危険があるからです。」とこの機会に先生はしっかり子どもたちに伝えます。
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ここから未来の仕事イメージを広げるキャリア教育授業(小学校6年生)を紹介します。
・子どもの思考や行動を引き出すパートナーとしてのAI活用
・教師自身は子どもの対話の伴走者
・子どもがAIとの対話を通じて自分思いや考えを言葉にすることから始めます

<授業案>
https://suzuki-toshie.net/news/6547/

AIをパートナーに未来へ向かう
この学習は、「AIの使い方を学ぶ授業」ではありません。AIという道具を通して、「何のために、自分で考えるのか」「どう生きたいか」というビジョンを胸に未来へ向かう学びです。
職業を決めることではなく、自分の選択肢はいっぱいあることに気づくことを大切にします。AIをパートナーに子どもたちがイキイキと学ぶ、ポストDX時代のキャリア教育は、人間らしい「好き」「関心」から始まり、多様な情報に触れ、社会に出会い、現実の行動につなげていく…そんな新しい学びがいま実現しつつあります。自分の人生をどう意味あるものにできるのか‥‥これはAIに回答をもらえるものではありません。一人ひとりが人間らしく未来へ向かうためにAIを活用する、この楽しいキャリア教育をぜひ実践してみてください。


■ Notebook LMとは

NotebookLMは、Googleが開発したAIを搭載した情報整理・リサーチアシスタントツールです。 

NotebookLMは、主に3つの機能スペースであるソース(Source)、チャット(Chat)、そしてスタジオ(Studio)で構成されています。

ソース 
情報源をアップロードする場所です。PDF、Googleドキュメント、ウェブページ、YouTube動画など、多様な資料をNotebookLMに取り込むことができます。AIは、これらのソースの情報だけを基に動作します。

チャット
アップロードされたソースの内容について、AIと対話するためのスペースです。質問を投げかけたり、要約を求めたりすると、AIはソース内の情報だけを使って回答を生成し、その根拠となる引用元を提示します。

スタジオ 
ソースの内容を再構築し、新しい形式のコンテンツを生成する機能です。資料から学習ガイド、ブリーフィングドキュメント、タイムラインなどを自動で作成でき、効率的な情報整理やコンテンツ作成をサポートします。

主な機能

  • ドキュメントの要約と分析: PDF、Googleドキュメント、ウェブページ、YouTube動画のリンクなど、さまざまな形式の資料をアップロードすると、AIが内容を瞬時に分析し、要点をまとめてくれます。
  • ソースに基づいた質問応答: アップロードした資料の内容について、チャット形式で質問できます。AIは質問に対して、その根拠となる資料の該当箇所を引用元として明確に示します。
  • 情報整理・コンテンツ生成:
    • 学習ガイド: 資料の内容に基づいたクイズや用語集を自動生成し、学習をサポートします。
    • ブリーフィングドキュメント: 資料の内容を簡潔にまとめた概要を作成します。
    • タイムライン: 資料中の情報を時系列で整理してくれます。
    • 音声概要: アップロードした資料の内容を、ポッドキャストのように音声で要約・解説してくれる機能もあります。
  • 共同作業: 作成したノートブックは、チームメンバーと共有して共同で作業を進めることができます。