2025年11月13日

AI時代の教育とは何か|未来教育6つのスピリットとプロジェクト学習|Gakken 教育ジャーナルVol.31

https://gakkokyoiku.gakken.co.jp/journal_category/k-journal/

https://suzuki-toshie.net/gakken-well-being/

AIが社会のすみずみまで浸透し、学びも仕事も生活も根本的に変えつつあります。いま私たちが直面しているのは、単なる「デジタル化」ではなく、人間の生き方や価値観までを問い直す大転換です。連載の最終回として、AIとどう付き合ったらいいのか?そして子どもたちがこの海図なき時代を、自分らしく希望をもって生きていける羅針盤となる「6つのスピリット」をとその実践となるウェルビーイングを実現する「ライフ」プロジェクト学習(PBL)をご紹介します。

一級建築士・次世代教育クリエーター・国立大学法人北海道教育大学[教職論 PBL]特別講師(2023)。「意志ある学び」を理念に教育の未来化を先導。ポートフォリオ・プロジェクト学習の第一人者。【公職歴】内閣府中央防災会議専門委員・千葉大学特命教授・東北大学非常勤講師等。著作『AI 時代の教育と評価』『プロジェクト学習の基本と手法』教育出版/『DX と ポートフォリオで未来教育』日本看護協会出版会/『これじゃいけなかったの !? 総合的な学習―これが成功戦略 !! ポートフォリオ評価プロジェクト学習』Gakkenほか

      AI時代を生きる羅針盤

      ─ 未来教育6つのスピリット ─

 AIを、夢をかなえるイネイブラ―としよう!

AIが社会のインフラとなる時代は、すでに始まっています。
子どもたちに必要なのは、固定化された「AI時代を生き抜くためのスキル」ではなく、誰も経験したことのない未来を、自らの意志でどう創っていくか――を導く羅針盤です。

AIは、私たちから義務的なタスク「やらなくてはならないこと」を解放し、価値ある創造的な活動「本当にやりたいこと」に集中する時間を与えてくれる、強力なイネイブラ―(可能にする存在)です。
その使い方こそが、未来を決めます。

教育の目標を「適応」から「創造」へ

従来の教育は、「既存の社会への適応」を是とし、「よい会社に入り、人に認められること」を暗黙のゴールとしてきました。
その結果、子どもたちは、知らず知らずのうちに「外的な承認」を目的とする生き方を強いられてきたのです。

しかし、AI時代に価値をもつのは、他者の基準に合わせる力ではありません。
自分自身の内なる声に耳を傾け、未来を創造する意志です。

教育の目標は、明確に――
「社会に適応させること」ではなく、社会を創る力を引き出すことへと転換するステージに入っています。

未来教育 6つのスピリット

― AI時代の羅針盤 ―

AIがもつ膨大な情報処理能力と、さまざまな生成力に対し、人間にこそいっそう大切になることは、「よりよきビジョンを描く力」とその実現への意志決定と行動です。その核を支えるのが、以下の6つのスピリットです。

1 現実直視

「今、何が起きているか?」
AIが提示する情報や予測をうのみにせず、生身の現実を解像度高く捉える力。

2 ビジョン

「どんな自分、どんな社会を創りたいか?」
AIが最適解を出す中で、人間独自の目的と夢を設定する力。

3 知の成果

「自分の学びは何に貢献できるか?」
知識のインプットで終わらせず、創造的なアウトプットに変え、具体的な貢献を実感する力。

4 事実・真実希求

「その情報の根拠は何か?」
ディープフェイクやフェイクニュースが蔓延する時代に、倫理的・科学的根拠に基づき判断する力。

5 意思決定

「決定するのは自分!」
AIが提案する複数の選択肢から、自分の価値観に基づき選び、責任を負う主体的な判断力。

6 俯瞰

「全体を見ているか?」
局所的な情報にとらわれず、自分・AI・社会を俯瞰して捉える力。

5 意思決定

「決定するのは自分!」
AIが提案する複数の選択肢から、自分の価値観に基づき選び、責任を負う主体的な判断力。

6 俯瞰

「全体を見ているか?」
局所的な情報にとらわれず、自己の内なる「均衡な感覚」で全体像を捉える力。

これら6つのスピリットは、知識やスキルの習得を超越し、
「自分と社会がどう関係をもつか」
「どう生きるのか」
という“意志”を育む羅針盤として価値をもちます。

子どもの自立をかなえる
ライフ・プロジェクト(LP)
総合的な学習の時間や探究では、「AI × PBL」が子どもたちの成長において重要です。
ここでは健康を題材に、自分の生活・身体をよりよくする「ライフ・プロジェクト(LP)」の事例を紹介します。
LPは、自己理解・セルフマネジメント力、情報を根拠として行動する力が身につきます。

* ライフプロジェクト(LP)とは
https://youtu.be/KLqDlsaLrGg
https://suzuki-toshie.net/news/7701/

1 自分の健康は自分で守る!プロジェクト

保健体育科、家庭科、理科などの授業と連携し、AIで健康データや生活習慣を分析しながら、子ども同士がチームでウェルビーイングをデザイン・行動するPBLです。
朝の体調や睡眠時間、食事などを記録してAIでグラフ化し、客観的に自分を観察します。

2 なりたい自分を描く

「もっと集中できる自分になりたい」「友達と元気に遊びたい」など、目指す姿を具体的に描きます。
AIマインドマップを活用し、自分の願いを整理することで、「健康」というテーマが自分の未来像と結びつきます。

3 行動をカタチに

AIカレンダーに実行記録をつけたり、日誌を書きながら、自分なりの健康の成果を積み重ねることで、他者承認ではなく、内発的な喜び(自己効力感)を覚えます。

4 根拠をもって判断する力

AIによる健康情報の信ぴょう性を確認します。
「誰が言っている情報なのか」「科学的根拠はあるのか」を考えて、AIリテラシーを高めます。

5 自分で選び、決める力

AIが提示する複数の改善案を生かして、自分に有効で実行できるものを考え決めます。
「夜9時以降はスマホの画面を見ない」など、自分で決める経験が生活への自信を生みます。

6 客観的に全体を見る力

AIとの対話記録や行動記録が見えるポートフォリオで、自分の変化や成長を確かめます。
AIに流されない自分を発見するでしょう。

AI時代の教育

プロジェクト学習を始めよう!

プロジェクト学習(PBL)は、ビジョンを実現する学びです。
プロジェクト学習は、知識を超えて「誰かの幸せ」や「社会のよりよい未来の実現」をゴールとします。

子どもたちは、AIという追い風を受けながら、自分の船を自分で操り、未来へ向かいます。
波のない海はありません。ときには迷うこともあるでしょう。
そのとき、6つのスピリットを羅針盤としてもっていれば、どんな場面でも自分をもって前へ向かうことができます。

未来を創るのはAIではなく、AIをパートナーとして自分のビジョンを実現しようとする人間です。
そして、その先頭に立つのは、今日の子どもたちです。

#未来教育
#AI時代の教育
#教育の未来
#教育改革
#プロジェクト学習
#PBL
#意志ある学び