[2] AI×プロジェクト学習【ビジョン・ゴール】フェーズ— Vision & Goal 【PBLマトリックス(2)】
※本資料は著作の草稿をもとに再構成したものです。無断転載・複製を禁じます。
フェーズ2:ビジョン・ゴール( Vision & Goal )―目的と目標の明確化
プロジェクト学習(PBL)は「現実から課題を見出す」準備フェーズから始まり、ビジョン・計画・制作・プレゼン・再構築を経て、成果と自己成長を確認するプロセスです。
フェーズ2「ビジョン・ゴール」は、
AI時代の教育においても人間が「何を目指すのか」を決める根幹のフェーズです。AIはアイデアを広げ、情報を整理し、目標設定を支援してくれますが、最終的に“ビジョンを描く力”と“意志をもって決める力”は人間にしかありません。この段階での学びが、プロジェクト全体の羅針盤となります。
1. フェーズの目的・意味・価値
目的:
課題に対して「どうであったらよいか」という理想の姿=**ビジョン(目的)を描き、その実現に向けてのゴール(目標)**を明確に設定する。
意味:
「現実から出発し、未来を構想する力」を育てる段階。
課題の解決を“自分ごと”として捉え、チームで共有できる言葉にすることで、
行動の原動力を生み出す。
価値:
- ビジョンを描くことは、学びの方向性とモチベーションの源泉となる。
- ゴールを設定することで、プロジェクト全体の軸と評価基準が明確になる。
- 「意志ある学び」の出発点であり、AI時代においても人間が意思決定する核心フェーズである。
2. 主な活動
- チームや個人でのビジョン共有・目標設定ディスカッション
- ゴールシートの作成(目的・目標・期日・成果・成長記入)
- SMARTゴール(具体・測定・達成・関連・時間)の視点で目標を整理
- 類似プロジェクトの成功・失敗事例の調査
- ポートフォリオ冒頭に「ビジョン・ゴール」ページを記入
3. AI活用の具体例(ツール名・プロンプト例)
AI活用の要点:
- アイデア生成支援:目標案の発想
- シミュレーション:設定した目標の現実性評価
- ナレッジ検索:過去の成功事例やベストプラクティスの参照
- 文章校正:ゴールシート文面の明確化と表現改善
活用ツール例:
- ChatGPT / NotebookLM:思考整理・目標提案・表現リライト
- Perplexity / Gemini:関連データ・過去事例の探索
- Miro / FigJam:チームでのビジョン共有・ゴールマップ化
プロンプト例:
- 「この課題(例:地域のごみ問題)に対して、実現可能な目標案を3つ提案してください。」
- 「プロジェクト目標を設定するためのSMARTゴールの例を教えてください。」
- 「この目標を、チーム全員が共感できる言葉に言い換えてください。」
- 「過去に似た課題を解決した事例を紹介してください。」
4. 対話コーチングの言葉
- 「それは“何のために”やるの?」(目的の明確化)
- 「実現したい未来の姿を言葉で描いてみよう。」
- 「チーム全員が“そうなったらいいな”と思えるゴールになっていますか?」
- 「具体的に“いつまでに・どんな形で”達成したい?」
- 「AIが出してきた案の中で、自分たちの意志と合うのはどれ?」
5. ポートフォリオの内容
- ゴールシート:目的・目標・期日・成果・成長の記録
- チーム共有ページ:メンバーのビジョンと合意形成の記録
- AI対話記録欄:AIとの対話で得た目標案・修正提案
- 振り返り欄:目標設定時の迷いや発見、気づきのメモ
- 成功事例リサーチページ:参照したプロジェクト・出典リンク
6. [未来教育ー6つのスピリット]との位置付け
| スピリット | 関連・位置付け |
|---|---|
| ①【現実直視】 | 現実を起点に「今の課題」を的確に捉える。ビジョンの前提となる現状認識。 |
| ②【ビジョン】 | このフェーズの中核。目的(なぜ)とゴール(どう)を明確にする力を育む。 |
| ③【知の成果】 | 設定したゴールが他者や社会にどう貢献するかを考える視点を持つ。 |
| ④【事実・真実希求】 | 過去事例や根拠ある情報をAIを通して収集・検証。 |
| ⑤【意思決定】 | AI提案を踏まえつつ、最終的なゴールを“自分の意志”で決定。 |
| ⑥【俯瞰】 | AIとの対話やポートフォリオを通して、目標設定のプロセスを客観視する。 |

