2025年10月31日

[3] AI×プロジェクト学習【計画】フェーズ— Planning【PBLマトリックス(3)】

※本資料は著作の草稿をもとに再構成したものです。無断転載・複製を禁じます。

フェーズ3:計画(Planning)―すべきことを自分で考える!

AI × Project-Based Learning — Planning Phase

プロジェクト学習(PBL)は「現実から課題を見出す」準備フェーズから始まり、ビジョン・計画・制作・プレゼン・再構築を経て、成果と自己成長を確認するプロセスです。

 


1. PBL基本フェーズ図・計画のフェーズの目的、意味、価値

計画フェーズは、**「未来から今を見る力」**を育てるステージです。
目的は、ビジョンとゴールを実現するために「何を」「どの順序で」「どんな手段で」行うかを自ら構想し、現実的な行動計画に落とし込むこと。
単なるスケジュール作成ではなく、時間という制約を創造の味方に変える知的プロセスです。
価値は、学習者自身が自分の“目的を実現する主体”として、優先順位を考え、行動をデザインすることにあります。
(参考:計画とは“未来から今を見る力”)


2. 主な活動

  • ワークブレイクダウンストラクチャー(WBS)の作成
  • ガントチャートやカンバン方式による進行管理
  • 優先順位(プライオリティー)の設定
  • リスクと課題の洗い出し、対策の整理
  • チームの役割分担・チームビルディング
  • 工程表・実行計画書の作成(学びと実行の「地図」)
  • 対話を通じた「計画の再設計」
    (参考:)

3. AI活用の具体例(ツール名・プロンプト例)

AI活用方向:行動計画支援/工程設計

ツール・AI機能 活用例 プロンプト例
ChatGPT・NotebookLM等 タスク分解と優先順位付け 「この目標(例:地域のゴミ問題を解決)を達成するために必要なタスクをステップごとに具体的に教えてください。」
Notion AI・ClickUp・Asana スケジュール自動生成 「1か月以内に達成できるスケジュールを作成してください。」
Google Sheets + Gemini 進行表テンプレート生成 「この活動をガントチャート形式で表示してください。」
AIリスク分析支援(Claude等) リスク要因の抽出 「この計画で想定されるリスクと対策を教えてください。」

AIは「工程表」「実行計画書」を自動生成・可視化し、思考の整理や対話の出発点として機能します。
(参考:)


4. 対話コーチングの言葉

  • 「この通りにすれば、あなたの目標は実現できるのね?」
  • 「何のために、その行動を選んだのですか?」
  • 「この計画で一番大事にしたいことは何ですか?」
  • 「他に必要なことはありますか?」
  • 「“やること”の前に、“なぜそれをするのか”を考えてみましょう。」

これらの問いかけは、計画書を“問いの道具”に変える対話であり、学習者の本音や意志を引き出す鍵になります。


5. ポートフォリオの内容

  • 「工程表」「実行計画書」「チームビルディングシート」
  • 目的・目標・成果・スケジュール・必要情報・社会的意義などの構想記録
  • 計画時に使用したAIプロンプトとその生成内容(思考の軌跡)
  • 優先順位やリスク分析、リフレクション記録
  • 対話コーチングの記録と改善メモ

これらはすべて、「意志ある学び」を可視化するポートフォリオの中核資料となります。
(参考:)


6. [未来教育 ― 6つのスピリット]との位置付け

スピリット 計画フェーズにおける対応
① 現実直視 現実の制約(時間・資源)を踏まえ、実行可能な道筋を設計する。
② ビジョン 目的・目標を起点に逆算して行動を構築する。
③ 知の成果 成果(アウトカム)を具体的に想定し、社会的価値を組み込む。
④ 事実・真実希求 必要な情報を精査し、根拠に基づく判断を行う。
⑤ 意思決定 優先順位をつけ、限られた時間で最善の行動を選択する。
⑥ 俯瞰 チーム全体の工程を俯瞰し、全体最適を意識する。

計画フェーズは「未来教育6つのスピリット」を実践に変える設計フェーズであり、特に⑤意思決定と②ビジョンの交差点として位置づけられます。
(参考:)


まとめ

計画とは「未来から今を見る力」。
子どもたちが“自分で決めた目標”に向けて“自分ですべきこと”を考え、実行していく過程こそが「意志ある学び」の核心です。
AIはその過程を支援する「構想のパートナー」として、学びを見える化し、共に未来を描く存在になります。