2025年10月31日

[6] AI×プロジェクト学習【プレゼンテーション】フェーズ— Presentation【PBLマトリックス(6)】

※本資料は著作の草稿をもとに再構成したものです。無断転載・複製を禁じます。

 

フェーズ6「プレゼンテーション(Presentation)ー共有

AI × Project-Based Learning — Presentation Phase

プロジェクト学習(PBL)は「現実から課題を見出す」準備フェーズから始まり、ビジョン・計画・制作・プレゼン・再構築を経て、成果と自己成長を確認するプロセスです。


1. PBL[プレゼンテーション]フェーズの目的・意味・価値

目的:
自らの成果や考えを「他者に伝え、共有する」ことを通じて、知を社会に開く段階。
発表は単なるまとめではなく、学びの意味を他者に伝え、共感・対話を生み出す“知の共有プロセス”である。

意味・価値:

  • 聴き手の理解と共感を得ることによって、自分の思考を客観的に整理できる。
  • 知識を「他者のための知」へと転換する力が養われる。
  • コミュニケーション力・表現力・構成力・即興対応力が統合的に育つ。
  • PBL全体の中で「社会的アウトプット=知の成果」を可視化する最終段階。

2. 主な活動

  • スクリプト作成:
    伝えたいメッセージを整理し、論理的構成でストーリーを組み立てる。
  • スライド制作:
    視認性・シンプルさ・情報整理を重視したプレゼン資料の作成。
  • 発表練習:
    話し方・姿勢・間・声の使い方・アイコンタクトなどを練習。
  • Q&A対応:
    想定質問を準備し、臨機応変に応じる力を養う。
  • フィードバック共有:
    聴衆・教員・AIからの意見を受けて、改善点を整理する。

3. AI活用の具体例(ツール名・プロンプト例)

ツール例:

  • ChatGPT/Gemini/Claude:スクリプト構成・質問生成・表現改善支援
  • Canva/Beautiful.ai/Gamma:スライド構成の提案
  • Tome/Pitch:AIスライド生成
  • Notta/Whisper:話し方分析、リハーサル録音の文字起こし・改善
  • ChatGPT+音声機能:発声や抑揚の練習支援

プロンプト例:

  • 「このプロジェクトの成果を紹介する構成を提案してください。」
  • 「この原稿をより説得力のあるプレゼン原稿に改善してください。」
  • 「聴衆に響く話し方のポイントを教えてください。」
  • 「このテーマについて想定質問と回答案を10個作成してください。」
  • 「発表の練習に使えるリハーサルチェックリストを作ってください。」

4. 対話コーチングの言葉

  • 「このプレゼンで一番伝えたい“想い”は何ですか?」
  • 「聴き手が“受け取る”姿をイメージして話してみましょう。」
  • 「言葉ではなく“エネルギー”で伝わっていますか?」
  • 「あなたの成果を社会にどうつなげたいですか?」
  • 「伝えることは“終わり”ではなく、“次の共創”の始まりです。」

5. ポートフォリオの内容

  • 凝縮したスライド構成案・スクリプト原稿
  • 話し方や構成の改善メモ、AIからのフィードバック記録
  • 発表当日の映像・音声データ(振り返り用)
  • 他者評価・自己評価シート
  • 発表で得た助言や称賛コメントの記録
  • 次回プレゼンに向けた改善計画

これらを「凝縮ポートフォリオ」として整理し、成長を可視化する。


6. [未来教育―6つのスピリット]との位置付け

スピリット プレゼンテーションとの関係
1. 現実直視 聴衆の現実や社会状況を理解し、リアルな課題意識を持って伝える。
2. ビジョン 自分の目的・価値・使命を明確にし、言葉と表情で表現する。
3. 知の成果 プロジェクトで得た知を“社会に役立つ形”で発信し、知の共有を行う。
4. 事実・真実希求 根拠ある情報やデータをもとにプレゼン構成を行い、信頼性を高める。
5. 意思決定 限られた時間で何を伝えるか選択・決断する力を育む。
6. 俯瞰 AIとの対話や他者からのフィードバックを通して、自分の表現を客観視する。

🔹まとめ

プレゼンテーションは「伝える」段階にとどまらず、“知を社会に開く”フェーズです。
AIはその過程を支援する“パートナー”として、表現・構成・練習・評価までをトータルに補助します。
対話コーチングとポートフォリオを併用することで、「伝える力=共創する力」へと進化させることができます。