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【鈴木敏恵の未来教育インフォメーション】
第696号/2022年2月27日発行[転送可]
発行者:シンクタンク未来教育ビジョン
鈴木敏恵( https://www.suzuki-toshie.net )
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DXポートフォリオで教育を変える
教育DXが叶える教育改革の中で大きな価値を持つのが、これまでのように学習の「結果」ではなく「プロセス」を重視するという意識があげられるでしょう。
「何を見て、そう考えたの?」‥プロセスを俯瞰する
「プロセス」を重視する、ということはプロセスを評価することではなく、学習者の思考プロセスに積極的に関わり彼らの成長を実現するという意識を持つこと、実際にそれができる教育者に自らなるということを意味します。
プロジェクト学習であれば、学習者がビジョンをもって自らゴールへ向かうプロセスやそこで生じる軌跡を大切にするということです。
ここに知識や情報を他者と共有できるポートフォリオの存在が不可欠となります。
プロセスで成長を叶えるためには‥
まず、プロセスが記録され視覚的に捉えることができること、学習者自ら俯瞰できること、時空を超え他者ともつぶさにプロセスに存在する知的素材(情報やデータなど)を共有できること‥などが必要です。
この価値ある望みをDXが叶えてくれる、というわけです。
DXポートフォリオで思考、判断、行動が見える
デジタル化された学びはすべて記録化、可視化を自動的に果たします。
オンラインで顔を見ながら展開する授業や講義の際に使うZoomでもTeamsでも他の手段でも、ほぼ録画機能を持ちますので学習者は何度でも見ることが可能です。
Google Classroomのような教育プラットフォーム上で展開する学習行動、ワークの進捗、学習者同志の教え合いや協力の状況、もちろん教師が示す資料も書き込むフィードバックやコメントもそのすべてがプロセスの一環であり、記録化されているのでいつでも見ることができます。
DXポートフォリオが果たす「知のシェア」
デジタル空間における学びはログ化を常とする限り、その思考や行動のプロセスを誰でも見て共有して学習者は互いに参考にすることができる‥。
デジタル空間を教室とするとき、そのすべては、現実の黒板のように消されることはなく、いつでも遡って理解や再確認することができます。
オンラインでプロジェクト学習を展開する際、現実の環境とは異なり、学習者たちはワークで創造的な成果を生みあげるためのすべての素材も、現実の教室のように再度ポートフォリオファイルへ戻したり、テーブルの上を片付けること必要がありません。
指導者は、デジタル空間のポートフォリオがあれば、プロジェクト学習(「総合的な探究」「課題解決型の学習」など)のフェーズで区切り、その時間経過を遡るように一つひとつプロセスのシーンを追いながら、思考、判断、行動など見ることができるのでより有効なフィードバックをすることができます。
「DXポートフォリオ」という考え方
このようなプロセスを大事にする関わりは、オンラインで学習を展開するのであれば、簡単な操作と意識の切り替えで、デジタル空間におけるプロセスをログ化できるので、そのすべてを成長に有効な教育手段、すなわちポートフォリオとして捉えるという考えにつながります。
(もちろんデジタル空間に学習者自身が知を蓄積できるポートフォリオファイルを用意しておくことは、そこに意図や選択が主張されますから有効、不可欠です)
「DXポートフォリオ」とは
オンラインを活かし、デジタル空間で学びが進行する、それがログとしてクラウドに保管されている…。
プロジェクト学習のゴールに向かい、学びのアウトカムを再構築して知の成果(=凝縮ポートフォリオ)を創り上げるときもそこへ向かうプロジェクト学習のフェーズが見えるゆえに成長ツールとして=使えるという視点でも、学びのDX化は、イコール、ポートフォリオ化と捉えることができる‥この概念を[DXポートフォリオ]と以後、表します。
課題発見に必要な「ポートフォリオの中身」とは!?
プロジェクト学習でクオリティーの高い成果と成長を実現するためには、ポートフォリオで学習者の思考プロセスを見て、最適な対話コーチングを行う必要があります。
ポートフォリオを成長に活かせる教育者になるためには、なによりもポートフォリオを見て、
「必要なものが入っているか?」この着眼ができる必要があります。
たとえば、「課題発見」のフェーズであれば、その「現状」がポートフォリオにしっかり入っているか?ということを見ます。
次号に続く
※新刊用の原稿をここに連載していますので、図や文章の活用は出版後までお控え願います。