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【未来教育MM689】“ACP”- 人間の尊厳を守る「ポートフォリオ」

未来教育メールマガジン

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【鈴木敏恵の未来教育インフォメーション】
第689号/2021年12月24日発行[転送可]
発行者:シンクタンク未来教育ビジョン
鈴木敏恵( http://www.suzuki-toshie.net )
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“ACP”- 人間の尊厳を守るポートフォリオ

ポートフォリオは、その人の生きている瞬間、瞬間のログとも言えますので多様な可能性を秘めています。

ポートフォリオはいろいろな目的に使えますが、そのすべてに共通しているのは‥
その人が「大切」と思ったことが入っているということです。

「未来教育-全国大会2021」では、ポートフォリオの紹介を中学生さんや社会人の方々にしていただきました。
【YouTube】学生や社会人のポートフォリオ紹介

 

続いて文部科学省のもと日本中の学校でスタートしたポートフォリオ(キャリアパスポート)
の状況について紹介しました。

【YouTube】日本中でスタートしたキャリアパスポート

ACPにポートフォリオ

ここを受けて、ランチタイムの休憩中に東京都済生会中央病院 樋口副院長 兼 看護部長と私は(Zoom越しに)対話しました。

たった4分間ほどでしたが、いまの日本にとって、いま生きている一人ひとりすべての人にとって、重要なキーワード「ACP」を教えていただきました。

あまりに価値あることと感じたのでご快諾いただきましたので、その対話動画(4分)、どうぞぜひ視聴してください。

【YouTube】“ACP”- 人間の尊厳を守るポートフォリオ

「何を大切にして生きているか」を知りたい

大まかですが以下リライトです(動画にも字幕あり)。

【樋口看護部長】:
「その時に、大事にしてきたことを‥社会から、第一線から退いたときに‥もちろん家族とかまあご夫婦とかいろいろあると思うんですけど、自分が何を大事にしてきたんだろうかっていうことを振り返ることができていたら‥(ポートフォリオがそばにあれば)その人がどう生きてきたか、社会とつながることが見えるのでは」

「後期高齢者とか言いますが、年をとっても人間は『こうなりたい、ああなりたい』って、あると思うんですよね、それとすごく大事なことなんですけど、今、医療界では[ACP]=アドバンス ケア プランニングっていうことをやってるんですよっていうか始めようとしてるんですね。

『どこまであなたは治療してほしいですか』っていう選択みたいになった時に『自分が何を大事にしてきたのか』っていうふうなことがあったときに‥‥

例えばその人が言葉がもう発せない、あるいは意識がもうないったときに、『あぁお父さんポートフォリオがある!』って持って来た時に『何を大事にしてきたか』っていうのがわかるじゃないですか!それって凄いことなんだなっていうふうに思いました。」

【鈴木敏恵】:
「はい!そうなんです、だからお魚屋さんやってた人の(ポートフォリオには)お魚の事が入ってるだろうし、(自分がつくった、自慢の)お刺身の盛り付けした写真とかね!」

【樋口看護部長】:
「うん そうそう‥『何を大事にしてきたか?』っていうふうなことが意外と家族の中でも今の状況だとわからなかったりするんですけど、その時に医療者は『価値観』を聞くんですよ、『どんなことを大事にしてきた方なんですか?』って言ったら『あらどんな事かしら?』ってなるわけですよ、(ご本人が)何も意識がないときには。

だけど家族はときにお金の問題でもう治療は‥となるわけこともある、でもそうではなくて『この人はどういうことを大事にしながら最後を迎えたいのか』っていうふうなことを医療現場の中では今話し合おうとしているわけなんですよ」

【鈴木敏恵】:
「ポートフォリオですよ」

【樋口看護部長】:
「そうなんですよ」

【鈴木敏恵】:
「だから学校の時からポートフォリオをやって来てくれたら、何も大人になって改めて始めなくても済む。その時にポートフォリオから学力とか部活動だけじゃなくてそう本当にその人の人柄がわかるというか‥あの(救命士になりたいとポートフォリオに入っていた)中学生さんのポートフォリオみたいに!」

【樋口看護部長】:
「本当に!!彼が大人になり救命士になったときに、倒れている人のそばにこの人のポートフォリオないかなか、ってポートフォリオも一緒に持ってきました!っていう救命士になってほしい」

組織や社会のためでなく‥その人中心のポートフォリオ

価値観とか人生観とか

Architectである私自身のポートフォリオがそうであるように、もともとポートフォリオは絵描やデザイナーなどが心血注いだ作品を綴じたものです。
ポートフォリオを見ればその人のオリジナルな人生が見えるのです。

ポートフォリオは価値あるものの一元化です。
経済界では「分散投資」などの意味で使われます。
美大生であれば皆、自分の作品を綴じたポートフォリオを持っています。

そこには、標準や平均、いい・わるいという価値判断はありません。
あえていうならオリジナルであることが価値を持ちます。
いいえ、人間は皆、オリジナルです。

パソコンやインターネット、テックが世界に浸透した今、人間に求められるのは、オリジナル性や創造的思考です。学校教育も変化し、世界中が正解のない創造的な学びを重要視するようになりました。

それは「正解のない学び」ですからペーパーテストなどで点数化する評価はできません。
そこでポートフォリオが教育界で注目され今日に至ったのです。

数値化されない一人ひとりの価値観や資質、能力、センス、生き方などが見えるものとして教育界でも医療界でも浸透しつつあるポートフォリオ‥やっとここまできたというのが私の実感です。

今、現状はどうでしょうか、試しにYouTubeで「ポートフォリオ」と検索してみてください、投資、資産増、就職で有利なポートフォリオ、金を稼ぐポートフォリオ‥という動画があふれます。

「記入」だけではわからない

一方、教育の世界では、その方向性はともかく、キャリアパスポートの名の下にポートフォリオが広く認知、実施されつつあります。

医療の世界でもACPに有効とポートフォリオが広がればいいなと思います。そのいずれでも大事なのは、社会ではなく、個人。一人ひとりの人間中心、ポートフォリオは人間の尊厳のためにあるということを見失わないようにと願っています。

子どもたちの学びにも、若者たちの進路やキャリアチェンジの面接にも、人生の最後の決断にもポートフォリオは役立ちます。
なぜならたった一枚の紙に記入する「経歴書」も「目標管理シート」も「リビングウィル」もそれだけでは、その人がどう生きてきたか、どんなプロセスを経て今日に至ったかそのストーリーが見えないからです。

一番大事なのは、人間の尊厳

「私たち医療者は、その人が何を大切に生きてきたか、生きているか、を知りたいのよ」その樋口看護部長の言葉が胸に響きます。

ACP、人生の最後のケアへの判断を考えたり意志支援するために必要なのは、最後に近づいているときのその人のことではなく、元気に生きて生活して、頑張ったり困ったり時に達成感を感じたりしている仕事をしている今、何気ないささやかな日常を懸命に生きている今この時から、大切な心に残ることをそっと入れたポートフォリオではないかと思いました。
この気づきをくれた樋口看護部長に心から感謝しています。

【YouTube】ACPの切り札ーポートフォリオ

 

この動画の最後に紹介している「人間を中心にするーポートフォリオ」の資料は、20年ほど前
から構想し日本ではじめてのポートフォリオの本となった私の書籍や寄稿からです。

<関連する動画・資料>

【YouTube】[ポートフォリオ活用/高齢者 独居 自己管理]2008年

 

【YouTube】退院指導・ライフポートフォリオ

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以下は2006年に出版したポートフォリオの書籍の一部です。

資料1『医療や健康にポートフォリオを活かす』

資料1『医療や健康にポートフォリオを活かす』

資料2『デジタルポートフォリオによる情報共有の可能性』

資料2『デジタルポートフォリオによる情報共有の可能性』

資料3『ポートフォリオで情報の一元化』

資料3『ポートフォリオで情報の一元化』

資料4『ポートフォリオで意志ある患者実現』

資料4『ポートフォリオで意志ある患者実現』

資料5『ポートフォリオで医療の願いを実現』

資料5『ポートフォリオで医療の願いを実現』

資料6『ポートフォリオの目的と分類』

資料6『ポートフォリオの目的と分類』

〇書籍『ポートフォリオとコーチング手法(医学書院)』抜粋
https://amzn.to/3FhcrzL

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「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは、将来の変化に備え‥(略)‥意思決定を支援するプロセスのこと。患者さんの人生観や価値観、希望に沿った、将来の医療及びケアを具体化することを目標にしている。」(医師会HP)
https://www.med.or.jp/doctor/rinri/i_rinri/006612.html

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