□□───────────────□□
【鈴木敏恵の未来教育インフォメーション】
第637号/2020年4月20日発行[転送可]
発行者:シンクタンク未来教育ビジョン
鈴木敏恵( http://www.suzuki-toshie.net )
□□───────────────□□
Essay:「社会的距離」と真逆な仕事
私が『夢は? 一番の願いは?』ってきくと‥
「寄り添える看護師になりたい」「患者さんのそばでゆっくり話を聞いてあげたい」って皆同じように返してくれました。
胸にグッときました、私は自分のことだけだったからです。
いま「ソーシャル・ディスタンス/社会的距離」を耳にしない日はありません。
しかし寄り添うことでしかまっとうできない仕事、リスクに満ちた最前線で仕事をしていてくださる方がいるという厳然たる事実があります。
親しい看護師さんたちの顔が一人ひとり浮かびます、言葉で言い表せない気持ちです。
看護師さんと出会い15年以上、敬意と感謝、高まるばかりです。
ポートフォリオと遠隔教育の共通点
ポートフォリオと遠隔教育、ここには共通点があります。どちらも一方通行ではなく双方向でしなやかに使うことで始めてその効果や価値を発揮するということです。
考えるプロセスが大事なこと、表情や気持ちが見えること、対話で成長すること‥
考えてみればリアルの教育と全く同じです、違うのは、ポートフォリオも遠隔教育も学習者が自分の目の前にいるわけではない、離れている、ということです。
どう「離れている学習者」の成長を促すか
ポートフォリオは小中、高校における総合的な学習の時間に活かそうとスタートを切りました。
参考書籍:「ポートフォリオで評価革命(2000年 学事出版)」著:鈴木敏恵
医療界においては医師の養成、臨床研修に活かすというところから広げました。
研修医は、初期、医療機関でローテーション研修(*最後に参考情報あり)を行います。
その間、学びや成長を自己管理する必要があります、ここにポートフォリオを活かします。
指導医にしてみれば、研修医が様々な臨床研修の期間、自分のそばにいることはなく、離れていることになりますが、ここにポートフォリオがあれば、自分が指導する研修医の経験や学びを知ることができ効果的な対話コーチング等で成長を促すことができるーーという提案をした書籍が以下です。
参考書籍:「ポートフォリオ評価とコーチング手法─臨床研修・臨床実習の成功戦略!(2006年 医学書院)」著:鈴木敏恵
https://amzn.to/2XLbIUA
いずれにしてもポートフォリオも遠隔教育も、その手段が大事なのではなく、学習者の「成長」が目的です。
AIやロボテックの時代です、その「成長」は、知識やスキルの習得に終えず、人間にしか果たせないもの、人間としての成長抜きには考えることはできません。
人間としての成長、ここをどうオンライン授業で実現できるのか‥
遠隔授業(Zoom)によるアクティブなプロジェクト学習
新型コロナウィルス感染の懸念は長引きそうです。今や学校種別を問わず、多くの学校で、オンライン授業を学校中で取り入れる動きが本格化しています。
その手段は色々ありますが、ここでは主にZoomによるオンライン授業で、どう「人間としての成長」を叶えるのか、遠隔教育でアクティブなプロジェクト学習を進めていくには‥などをこれから連載していきたいと思います。
心が通じる遠隔教育を叶える
私は次世代プロジェクト学習の推進だけでなく教育の未来化を実現する公的機関のインテリジェント化の設計、企画アドバイスをしています。
時空を超えた魅力的で未来的な教育施設を構想設計することと並行して文科省の「次世代IT活用未来型教育研究開発会議委員」として日本各地へインターネットによる遠隔教育について提言、視察なども行ってきました。
子どもの数が少ない僻地や離島、また、入院している子どもが学べる院内学級における「人と人の顔が見え、心が通じる遠隔教育」は、学習者の人間としての成長に効果的と強く実感しています。
次回に続く
http://suzuki-toshie.net/blog/archives/302
■参考情報:医師臨床研修のローテーション
「内科、外科、救急、小児科などをローテーションして基本的な臨床スキルをバランス
良く伸ばしていく研修」
[記事]ポートフォリオ評価を臨床研修に活かす、自己評価能力を育み、成長し続けるために(医学界新聞より)
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2006dir/n2694dir/n2694_01.htm