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【鈴木敏恵の未来教育インフォメーション】
第622号/2019年11月22日発行[転送可]
発行者:シンクタンク未来教育ビジョン
鈴木敏恵( http://www.suzuki-toshie.net )
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新人が「自分の考えを言えない」わけ
私は学生へも新人へも新人指導者へも話す機会を持ちます。新人指導者は新人に対し「もっと自ら発言して欲しい」といいます。
なぜ新人は話せないか‥
目立つことをためらうなど、その理由はいろいろでしょうが、「まわりが何を話しているのかわからない」から話せないということがあります。
建築科のある学校を出て建設会社設計部へ入った新人のとき、私もまわりが話している言葉がさっぱりわかりませんでした。
「あなたの考えは?」と問われても話すことができません。そこで交わされている言葉が知っている言葉なのにわからないのです、なので考えの持ちようがないのです、当然、話せません。
社会で生きていくために学校でいろいろ学びます。
ですから社会でも学校でも使う言葉はなるべく同じ意味やイメージを備えているといいと思います。
しかし現実にはギャップがあるようです。
「探究とプロジェクト学習」vol.1
学校と社会では「言葉」にギャップがある‥
同じ言葉でも学校と社会では、その意味する世界(概念)が違うものがあります。だから学校にいる先生は困りませんが、生徒たちは、学校を卒業して社会に出て新人になった時にキョトンとなることがあるのです。
言葉には意味があるだけではなく、その言葉を使うとき頭の中に浮かぶイメージ、世界観があります。その言葉を使いながら映像やイメージが頭に浮かびます、「柿の実」と言えば相手にも自分とほぼ同じものが浮かびます。
でも「課題」や「探究」や「総合」という言葉はどうでしょうか?
「総合的な探究」とは?
例えば「総合的な学習の時間」、これは文字通り、教育関係者もそうでない人たちにもわかりやすい表現です。
「総合的な探究の時間」これは、学校関係者にしかピンときません。
なぜ「探究」が「高等学校学習指導要領」に登場したかについては、多くの教育関係者は知るところです。
いずれにしても「総合的な探究」という表現は通常、社会では使いませんので先生たちはその意味するところを高校生たちに説明することとなります。
一方、「探究」という言葉は、好奇心、探究心などちょっとワクワクする感じで教育関係者ではなくても私たちは特別感なく使います。辞書には次のような解釈がほぼ書かれています。
探究とは‥
対象と自分からなるもの、物事の本質などを探って見きわめようとすること。
1)探究とは、知識を論証すること
2)探究とは、疑問を解消・解決すること
3)探究とは、問題解決をすることという目的のある思考過程のこと
学習者たちの主体性(?)を尊重するために、課題を与えるのではなく、自分たちで課題を設定することが大事ということで、先生は「探究の課題を設定しましょう」と言います。
そのとき、上の1)なのか2)なのかそれとも3)なのか?
「探究」、この言葉の意味やイメージするところが先生や生徒の間で明確なのか、ここが要です。
次号、「探究とプロジェクト学習」vol.2に続きます。
【12月6日(金)】お知らせ/講演と学生の公開プレゼン
未来教育プロジェクト学習を実践した学生たちの公開プレゼンテーションを行います。
鈴木敏恵も講演します。
このプロジェクト学習は学校種別を問わず学生たちの自律(自ら生活改善)に有効で役立つものです。
自分の人生を自分の意志で開くキャリア教育デザインです。
看護教育スタートとして1年生がその成果をライフポートフォリオと合わせてプレゼンテーションします。
中学校、高校、大学などでもキャリア教育のスタートとして実践することで、自立、自律を叶えます。