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【鈴木敏恵の未来教育インフォメーション】
第621号/2019年10月31日発行[転送可]
発行者:シンクタンク未来教育ビジョン
鈴木敏恵( http://www.suzuki-toshie.net )
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課題の課題
‥学校と現実社会では「課題」の意味が違う、これが課題です。
いくら耳を澄ませて聞いていてもその意味やニュアンスがわからないままでは、そこからどう考えたり動いたりしたらいいのかがわかりません。その一つが「課題」という言葉です。
知識やスキルの習得から、課題を自ら見出し課題解決力を身につける教育が求められるようになり、授業の中で頻繁に使われるようになった言葉です。
小中学校では「総合的な学習の時間」、高校における「総合的な探究の時間」だけでなく、すべての「教科」教科書で課題や課題解決という言葉がふんだんに使われるようになりました。
しかし学校で使われる課題と社会で使われる課題とはまったくと言えるほどその意味やニュアンスは違います。
学校教育では‥
「今日はこの課題を出します」
「課題はやってきた?」
「課題提出してください」
「“探究”の課題(疑問に思うこと、学習したいこと)を設定しよう」
という具合に使われます。
現実社会では‥
「この町の課題は、何だと思う?」
「その課題の主要因は、何かわかっているの?」
「どんな課題解決策が有効だろうか?」
という具合に使われます。
同じ「課題」という表現なのになんとなくニュアンスが違う、解釈が違う‥‥学習者は混乱し思考を絞ることができません。この戸惑いや受け止めの混乱があるままでは、どう考え判断、表現したらいいのかがわからない、となります。
学校を出て社会で働き始めるとすぐに上司からやミィーテングで「ところで、“その課題”はなに?」などという言葉が飛び交います‥
キョトンと戸惑う新人や、いくら目を見ながら言われても、、エッ? 私、何すればいいの?
(課題ってなに?それって与えてくれるものではないの?)というスタッフが少なからずいる現実があります、言葉が通じてないのです。
あらためて『課題』とはなにか、を考えてみたいと思います。
『課題』とはなにか
学校の中で長く「課題」は与えられるものでした、「来週までにこの課題をやってくるように」という具合です。
それは、暗黙のうちに「自分がすること、しなければいけないもの」を意味します。
しかしプロジェクト学習における課題は違います、与えられるものではありません。学習者が目の前の課題を見て自ら見出すものです。
プロジェクト学習における課題は、現実における、課題解決すべき、“課題”です。
プロジェクト学習の課題とは‥「このままじゃいけない、なんとかしなくちゃ!」というもの、この意志こそ、目指すゴール(目標)へ向かう強い原動力であり、そのために新鮮なデータや情報を獲得してプレゼンテーションをして人々に伝えたい!そのためにまず自分が成長したい!というモチベーションの源となるのです。
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※次回「探究とプロジェクト学習」に続きます。