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【鈴木敏恵の未来教育インフォメーション】
第702号/2022年4月29日発行[転送可]
発行者:シンクタンク未来教育ビジョン
鈴木敏恵( https://www.suzuki-toshie.net )
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教育DX「ポートフォリオで考える力を高める」
目の前の現実をステージとする「正解のない学び」の時代が始まっています。
ここで求められるのは、躍動している現実から情報を獲得する力やありたい未来、ビジョンを描けるイメージ力や人の心を察する想像力、感性‥新しい価値を生み出せる、創造的な思考です‥これらは人間にしかないものですし、人間だからできる教育とも言えます。
ここに未来教育プロジェクト学習が応えます。
プロジェクト学習に正解はないので、学習者は、自ら描いたビジョンに関連する情報や現実の課題に立ち向かうために、必要な知識や情報を手に入れポートフォリオへどんどん入れていきます。
評価から考えることはオカシイ
そのポートフォリオを見て、出来ている、出来ていない、十分、不十分など結果を評価する‥これは教育者の仕事ではありません、審査官や面接官の仕事です。就職の面接官であれば、ポートフォリオを見て点数化するなどで評価しますが、学校は教育の「結果」でなく、成長の「プロセス」の場所ですから、ポートフォリオを見て評価するということから始めるのはオカシなことです。
ポートフォリオを評価の手段として使うのではなく、成長させるために使う‥
=自分の頭で考えることができる人になるために使って欲しいと願っています。
しかし実際は、ポートフォリオの多くはそのように活用されていない状況と感じます。
その時、指導者や先生のすべきことは?
ポートフォリオを活かすことで、考える力(課題発見力や思考力・判断力・行動力など)を高めることができます。
そのためには、指導者が「ポートフォリオを活かせる力」を身につける必要があります。
ここを動画でお伝えしました、どうぞご覧ください。
ポートフォリオを「考える力」のために活かす
ポートフォリオを教育やキャリア支援に活かすためには、指導者があらためて以下のようなことを理解し身につける必要があります。
・「結果」ではなく「プロセス」にこそ価値があるということ
・「到達度」ではなく「クオリティー」を大事にするという意識
「考える」とはどういうことかを理解する
指導者は、ポートフォリオを見て、その人の『考える力(課題解決力や判断力‥など)』を高めることができます。
そのためにまず「考える」とはどういうことかを理解します。
考えるとは‥頭の中の知識と知識を「関連」づけたり、「関係」させたり、知識と情報を「結び」つけたり、情報と情報を「照らし合わせ」たり「分類」したりすることと言えます。
「知識」と「現実から得た情報」を結びつける
頭の中には、色々な知識や情報がたくさんあります。この図で言えば、「青ドット」が「知識」、「赤ドット」は目の前の現実から手に入れた情報ということになります。
「知識」と「手に入れた情報」を関係づけたり、照らし合わせたりするこの繋がりの線が「考えている」というイメージです。
ポートフォリオ=そのことについて考えた『頭の中』
先生は学習者がどんな情報を手に入れ、どう考えたのかなど知りたいのですが、それは頭の中にあるので見ることはできません、ここに、手に入れた情報や考えたことが入っているポートフォリオの存在が活きるのです。
ポートフォリオで思考プロセスが見える
ポートフォリオを見るとその学習者が
「何のために、何をやろうとしているのか」
「どうしてその課題にしたのか」
「それを決める前に現状をおさえているか」
「どんな知識と情報を照らし合わせたのか」
など『考え』が見えます。
ポートフォリオに入っているべき「情報」が入っているか?
プロジェクト学習は現実の課題をなんとかしようというものでもあります。
ですから現実を見て課題を決める[準備]のフェーズが一番大事と言えます。
ここがいいかげんなまま、ビジョン(目的)やゴール(目指す目標)の設定をすることはできません。
ポートフォリオを見ると
なぜ、その課題にしたのか‥思いつきだけで決めてないか、しっかり現実からの情報を多面的、多角的に手に入れているかが見えます。
[準備]のフェーズでは”これだけは必ず要る!というコンテンツ(情報・知識)があります。
※ポートフォリオに入ってなければいけないもの
『プロジェクト学習の基本と手法(教育出版)』(38、172ページ)
https://onl.la/9UXDMa7
[準備]のフェーズのポートフォリオからはその有無やクオリティを見ることができます。
デジタル空間で「思考プロセス」を見る
現実がステージのプロジェクト学習であるかぎり、現実から「情報」を得ることは不可欠です。
現実は静止していません、刻々と状況は変化し一瞬もそのままであることはありません。
その変化そのものが「獲得すべき情報」ということもあります。
ネットや書籍から得る情報と比較すれば現実は動的、常に動いていますので、自ずから得られる情報は量も種類も圧倒的に多くなります。
自ずからポートフォリオへ情報を頻回に入れることになります。
ここにデジタル空間にあるポートフォリオがその有効性を発揮します。
例えばGoogle Classroomの中に学習者のポートフォリオがあれば、いつでも、どこでも、どんな媒体(写真、動画、テキスト、インタビュー音声、現場でひらめいたアイディアなど)でも、獲得した情報をその場で、その瞬間に入れることができます。
また、プロジェクトのチームメンバーがそれぞれの場所に分散し情報を獲得しても、Google Classroomにある一つのポートフォリオにそれぞれその場で入れることができます。
さらにメンバー同士も指導者も遠隔にいても、その人が「どこで何を見たのか、どんな状況でその情報を獲得したのか」という履歴も含めて知ることができます。
デジタル化されたポートフォリオであれば(=DXポートフォリオ)それぞれがどこにいても、その人が何を見て、どう考えたのかその一連の「思考プロセス」を見ることができます。
必要な時にはすぐ、どこからでもそのポートフォリオを見てタイムリーに適切なアドバイスや互いの考えをシェアすることも果たします。
ここまでを3分の動画で話しています。
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【YouTube】ポートフォリオで考える力を高める
https://youtu.be/bXw–IEqNEQ
※ポートフォリオに入ってなければいけないもの
『プロジェクト学習の基本と手法(教育出版)』(38、172ページ)
https://onl.la/9UXDMa7
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【現実から情報を獲得するプロジェクト学習の実践事例】
● 避難プロジェクト(中学校)
https://youtu.be/XUDTDgEvELk
● 大切な人(家族)をコロナから守る!(高校)
https://youtu.be/570qbUoM8Ow
● 訪日外国人をコロナから守る!プロジェクト学習(大学)
https://youtu.be/XKa74c5k8_k
● 心馳せのふるまいができるようになろう!(医療機関)
https://youtu.be/X4aFXcBDb60
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※使える「ポートフォリオ・プロジェクト学習」の本です!
よろしければぜひお読みください。
『AI時代の教育と評価
-意志ある学びをかなえるプロジェクト学習 ポートフォリオ 対話コーチング』
https://www.amazon.co.jp/dp/4316804359/