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【鈴木敏恵の未来教育インフォメーション】
第625号/2019年12月11日発行[転送可]
発行者:シンクタンク未来教育ビジョン
鈴木敏恵( http://www.suzuki-toshie.net )
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[PISA 読解力]って‥そのイメージ違う?!
ネットや新聞などで、OECDが行ったPISAの結果、日本は読解力で(前々回調査では4位、前回調査では8位)過去最低の15位に後退した、という見出しが踊りました。その解釈や見解はすでにネットにも多くありますので、ここでは少し違う視点で考えてみたいと思います。
※OECD実施の学習到達度調査「PISA2018」
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf
▼読解力って‥?
そもそも「読解力」とただこの3文字だけ見ると、本を読むこと読書の時間を増やそう、と思う人がいそうです。
しかしPISAの読解力は、一般的に解釈される「本や文章を“読み解く”能力」というイメージとは異なります。
OECDの定義する読解力
「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、社会に参加するために、テキストを理解し、利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと」。
(2015年から、コンピュータ使用となり、定義が「書かれたテキスト」から「テキスト」に定義が変更、オンライン上の多様な形式/Webサイト、投稿文、メールなどが対象)
グラフなどから意味を読み解くことやオンライン上の多様な、Webサイト、投稿文、メールなどを理解し、利用、評価などをその視点としています。
「自らの目標を達成し」←ここが重要
読解力の説明の際にしばしば「テキストを理解し、 利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと」について論議されますが、実はもっと重要なのは、冒頭の“自らの目標を達成し”“社会に参加するために”の箇所と言えるのではないでしょうか?
「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達 させ、社会に参加するために、テキストを理解し、 利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと。」
なんのためにテキスト(情報)が要るのか?
「ー テキストを理解し、利用し、評価し、熟考し」‥ここは、テキスト(情報やデータ)が持つ意味や場合によっては意図や価値を理解し、それが確かなものなのか(評価し)よく考えて使おうね、ということとと捉えることができるでしょう、クリティカルシンキング(情報を見極る力)と近いと解釈してもいいかもしれません。
実際、私が学生と関わる中でここが足りないな、としばしば感じるところです。
いずれにしても「PISA 読解力」の意図する“‥テキストを理解し、 利用し、評価し、熟考”するためには、何のために(目的)、何をやり遂げたいのか(目標)という軸を学習者自身が揺るぎなく存在させて要る必要があります。目的も目標もない、あるいは、与えられた目標であり、自分のものとなっていないならば、そもそも必要なテキスト(情報)を自ら獲得することはできません。
社会に参加するために
「自らの目標を‥社会に参加するために‥」この肝心なおさえは、知識でもスキルでもありません、学習者自身の意志が要るのです。ここに未来教育のプラットフォームとしてのプロジェクト学習が活きます。
[参考書籍]
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鈴木敏恵に関するお知らせ
12月号特集:自ら学び、生きる力を育むーポートフォリオが照らすそれぞれのキャリア
※インタビュー記事『AI時代-さあ人間性と成長心を高める未来教育をはじめよう!』という内容でお話ししました。
役立つ実践事例がたくさん添えられてます、ぜひお読みください。
●『看護教育12月号』医学書院
https://bit.ly/2E0AiWB
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●「週刊文春」12/5号
冒頭に、岡田看護部長(順天堂大学医学部附属練馬病院)のご紹介記事があります。
※「20代後半、世界中を放浪しました」とキャリアポートフォリオを見せていただいているような内容です。
頭の回転早く切れ味のいい方です。今週また、意志ある学びポートフォリオ・プロジェクト学習を開催。
前向きな、リーダさんたちと一緒に未来教育 研修!楽しみにしています。
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