【未来教育MM707】DAO化する学校・教育-プロジェクト・ポートフォリオ時代

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【鈴木敏恵の未来教育インフォメーション】
第707号/2022年6月19日発行[転送可]
発行者:シンクタンク未来教育ビジョン
鈴木敏恵( https://www.suzuki-toshie.net
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目次

未来教育DAO-プロジェクト・ポートフォリオ時代

☆ DAO(Decentralized Autonomous Organization)…自律分散型組織と訳されます(「ダオ」と発音される)。

※DAO:同じビジョンや共感、仲間意識で連帯した人たちが集まりプロジェクトを動かす、中央の管理者なしにフラットな個人(一人ひとり)で運営される、通常はネットワーク上をステージとしデジタル空間で主たる活動を行う、新しいコミュニティー形成による組織運営。

DX時代‥‥彩りゆたかな社会へ

これまでの教育は“社会や組織”が必要としている均一・同質な能力やスキルを備える人材を育てることに力を注いできました。よい成績、大学、就職を目指し学習‥在学中から社会人基礎力‥マナー講座と、社会や組織で求められるものを身につける‥まじめに言われた通りしっかり働く人が学校で求められていた気がします。

しかしDXの到来で、このようなことはすでにAIやテクノロジーが私たち人間に代わり遥かに上手に効率的に果たす‥そんな時代はすでに始まっています。
そこで価値を持つのはAIやロボットになく私たち人間がもつ一人ひとり異なる感性や個性、世界観、独自性からなる彩り豊かな存在そのものと言えるかもしれません。

組織中心から人間中心へ

DXで社会の姿が変わります。デジタルがもたらすネットで繋がった世界は、人々を容易に共通するビジョンや課題でつなぐことを可能とします。既存の組織(国、企業など)の仕組みや価値観などに囚われない、人間中心のしなやかな世界です。

[未来社会イメージ]組織中心から人間中心へ
[未来社会イメージ]組織中心から人間中心へ

そこでは、共感やビジョン、課題を同じくする人々が集まり未来志向で一緒に考えや知恵などを出しあいます。
デジタル空間で集い、プロジェクトで価値あるものを生み出します。

価値あるアウトカムを社会へ生みあげたら解散し、また新しいビジョンのもと多様な人々が一緒に夢を叶えるために集まりプロジェクトをスタートさせる‥人間中心のしなやかな社会。

ビジョンと共感の新しい世界「DAO」

プロジェクト社会・ポートフォリオ時代

教育は何のためにあるのか?
DXは教育の目的を変化させます。

教育の目指すところはこれまでのような「社会に求められる人」になることではなく、自ら新たな未来や「社会を生み出せる人」、ここにビジョンを実現する学び、プロジェクト学習とそのプロセスを顕在化するポートフォリオが次世代プラットフォームとして生きます。

「新しい価値創造の学び」のコンセプトモデル
「新しい価値創造の学び」のコンセプトモデル

プロジェクト社会において、教育の目的は、これまでのように全員に同じような能力やコンピテンシーを身に付けさせることではなく、多様な考えや価値観、文化などを背景とする一人ひとりの違いを尊重し、その人の個性や才能、感性、能力などを見出したり、引き出したり、高めるというものに変わります。

[新聞]「新たな価値創造プロジェクト
[新聞]「新たな価値創造プロジェクト

独自性のあるアイディアや個性あふれるモノゴトへの捉えかた‥しなやかな知性、センス、発想こそが『新たな価値創造』の力となります。

[参考資料]「新たな価値創造プロジェクト」基調講演資料
https://suzuki-toshie.net/mm-images/mm707-5.pdf

「固体の時代」から「気体の時代」へ

[図]「固体の時代」から「気体の時代」へ
[図]「固体の時代」から「気体の時代」へ

これまでの社会は、定型や既存の考えを維持させることを前提とする、そこでは誰が見ても同じように数えたり捕らえたりすることが出来るカタイ固体に近いイメージです。

一方、もうひとつの世界は、主たるステージをデジタル空間とする新しい価値創造を生み出す躍動的な社会です。

そこでは一人ひとりの人間の知性や感性、アイディアが大気の粒子にも似た飛躍的な動きやつながりを自由に果たします。共感やビジョンで集合する光の粒子、触発し合う様子が「気体」をイメージさせます。

DXは、「固体の時代」から「気体の時代」へと新しい次元へ私たちを連れて行く鍵とも道標ともなりそうです。

DAOとプロジェクト

[図]プロジェクト社会・ポートフォリオ時代へ
[図]プロジェクト社会・ポートフォリオ時代へ

未来教育とDXがもたらす、未来の社会では、同じビジョンの個人が集まり新しい価値創造をプロジェクトで生み出します。そのイメージは‥プロジェクト・リップルス(波紋)。

ポートフォリオリングはビジョンを叶えるプロジェクトで重なり複合し次の新しいリングを結成します。

[図]DAOと新しい価値創造
[図]DAOと新しい価値創造

新しい価値創造を叶え、ミッションを完了した後は、リングは解けるように元の水面に戻ります。
しばらくするとポートフォリオリンクは再び新しいリングを結成し次なる新たな価値創造へ知を高め向かいます。

DAOとポートフォリオのシンクロニシティ

「プロジェクト社会・ポートフォリオ時代へ」
「プロジェクト社会・ポートフォリオ時代へ」

DAO化する[学校・教育]とは‥
私は近い未来、と言いたいところですが、実際にはかなりの時間はかかると思いますが、未来には、学校も教育もDAO的な世界観、イメージに発展すると考えています。

★ 2018年:このプロジェクトリップルス(プロジェクト社会・ポートフォリオ時代へ)は、きっとこんな未来になるというイメージがひらめいたので、2018年に湧き上がるそのままに鈴木敏恵が書いたものです。

翌2019年に出版した『ポートフォリオで未来の教育』という本の129ページにその一部を載せました。

書籍名『ポートフォリオで未来の教育 次世代の教育者・指導者のテキスト』
https://www.amazon.co.jp/dp/4818021997

★ 2020年11月に夢を見ました、いつもいつもポートフォリオやプロジェクトのことを考えているからでしょう。
未来デザインの名「Ripples(リップルス)」/ポートフォリオリング‥‥それをブログに書きました。
http://miraikyouiku.jugem.jp/?eid=3679

★ 2021年:web3の象徴ともいわれているDAOの概念と、私が2018年に描いた「Ripples(リップルス)」は本質・普遍が共通していることに気づきました。

ポートフォリオリングと同じ理念・コンセプトをもっていました。

DAOについてはネットにその説明や実践がありますが、私は伊藤穰一さんの表現がその知性で本質を最もシンプルに話されていて本当に素晴らしいと思っています。

日本のインターネットの父と呼ばれている村井純さんとは以前に国の会議でご一緒しましたが伊藤穰一さん、村井純さんともにその存在は日本の宝物と感じています、同じ時代を生きることが出来て嬉しいです。

web3とは | DAOがなぜ注目されているのか?(伊藤穰一氏)

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次号に『【未来教育 MM708】DAOとデジタルポートフォリオ』続きます。

編集後記:

今回の【未来教育MM707】は私自身が、デジタル空間でプロジェクト学習を実践してきた実感とまだ見ぬ未来を合わせて書きました。

多くの人と同じように私も新型コロナが広がり出した、2020年4月から仕事・教育・講義・ミーティングなどのすべてをインタラクティブにオンライン空間で行うことになりました。
ZoomとYouTube、そしてほぼ同時にデジタル空間(Google Classroom)を生かすスタイルです。

何百キロも離れた先生方や学生たちとあるいは医療機関の指導者たちと、プロジェクトベースで知の成果を生みあげる‥文字通り時空を超えたスペースでのやりとりは必ず「新たな価値創造」を生み出すことを目的としています。

‥でも来週はリアル、飛行機で福岡へ向かいます。先生方へ直接会ってプロジェクト学習を伝えることもまた楽しみです!

[未来社会イメージ]組織中心から人間中心へ

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