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【鈴木敏恵の未来教育インフォメーション】
第692号/2022年1月22日発行[転送可]
発行者:シンクタンク未来教育ビジョン
鈴木敏恵( https://www.suzuki-toshie.net )
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自己肯定感を高めるポートフォリオ
未来を描きそこへ向かう軌跡が見えるポートフォリオがあれば、未来へ向かっている自分自身を時々でもずっとでも見続けることができます。
人は時々会う人を親しく感じます、長く見続ける見るものを愛します。
ポートフォリオには自分がやったことや頑張った自分が入っています、だからポートフォリオを見ると自分を褒めたり認めたりしたくなります、自己肯定感や自信、前向きな気持ちが湧き上がります。
ポートフォリオは自分の思考や行動を俯瞰して見ることを叶えます。
プロセスにこそ価値がある、という気づき
大事なことはその時には気づきません。少し経ってポートフォリオを見るとゴールに達成すること以上に、実はそこへ向かうプロセスの一つひとつにこそ価値がある、ということを気づかせてくれます。
だからポートフォリオは「キャリア」にも「教育・学び」にも「目標管理」にも活きるのです。
人はみな「一人プロジェクト」進行中!
未来へ「何のために、何をやり遂げたいのか」というビジョンとゴールを描きそこへ向かうことを「プロジェクト」と言います。
何かを叶えたいと学んだり仕事したりしている人はみな「一人プロジェクト」進行中!って感じです。
進めるときも、揺らいだりぶれたりしたときもフィードバックできて役立つのが「ゴールシート[☆]」の存在です。
だからポートフォリオの最初のページにビジョンとゴールを書いたゴールシートを入れて
からプロジェクトをスタートするのです。
[☆]ダウンロード:ゴールシート
https://suzuki-toshie.net/mm-images/GOAL-SHEET.pdf
「ビジョンとゴール」の存在こそが大事
目指す「目標(ゴール)」だけでなく「何のために」という「目的(ビジョン)」がそこにあるから、そこに大事な価値を感じているから、キリリっと顔を上げて自分を信じて進むことができるのです。
「思考・判断・表現」の決め手
プロジェクトには、「これが正解!」というものはありません。
だから、思考するときも、判断するときも、表現するときも唯一、重要な拠り所として「ビジョン、ゴール」が要るのです。
自分が決めた「ビジョンとゴール」の存在こそが大切です。
ポートフォリオの主体は個人
ポートフォリオには、自分が大事と考えたことが入っている。
ポートフォリオの持ち主も、つくる主体も個人である自分です‥ここは「ポートフォリオを成長に活かす」ために重要なポイントです。
個人でなく、学校や国や所属する組織が主体となるポートフォリオであれば、その背景からどうしても「管理や評価のためのポートフォリオ」という面を持ちます。
管理や評価は必要ですが、管理や評価で意志ある学びは叶いません。
・主体性を評価するという高大接続eポートフォリオ
・eラーニングの学修履歴、リフレクション。
・LMS(Learning Management System、学習管理システム)
・リアルでもいい活動しているのに、オンラインにおける学習活動しかログ化されていないeポートフォリオ
・新しい学習指導要領に対応する観点別学習状況の評価だけを主眼とするポートフォリオ活用
・査定や人事評価を意識し、資格取得や研修歴だけの目標管理用ポートフォリオ(?)
・就活を意識してさりげなく整えたSNSポートフォリオ‥‥
いずれにしても、社会や組織を主体とするポートフォリオだけでなく、自分のためにポートフォリオをまずつくることをおすすめしたいと思います。
それは、未来の自分に見せたいポートフォリオです。
自分が本当に関心あること、学んだこと、大事って思っていること、心に残ったちょっとしたこと、書いてみた小説、一人で決めて実際に訪れた旅の印象、そこで出会った人や出来事から学んだこと‥後から気づいたその人の一言‥‥。
インターネット上に公開でも非公開でも自分で判断して、日時や感想などを添えて時系列にポートフォリオとしておくことも、自分の未来を自分で考えるとき、何を大切に生きたいのか考えるとき‥役立つかもしれません。
【YouTube】ACP「何を大切にして生きているか」
【YouTube】キャリアパスポート=ポートフォリオ
デジタル空間における「ポートフォリオ8つの機能」
教育DX、新しいステージの教育が目指すのは、知識やスキルの習得でもコンピテンシーだけでもなく、創造的な思考‥想像力や未知への挑戦心や独創的な知を生み出せるような教育です。
「正解のある学び」は、AI教材やオンラインで個別最適に学びます。
学校の先生は、正解のない学び、プロジェクト学習など、共感したり対話コーチングしたり人間でなければできない教育に本領発揮します。
先生は「知識」を与え、その「結果」を評価するのが仕事ではなく、学習者が学びのゴールへ向かう「プロセス」に「対話」で関わります、そのためにはプロセスが見え、共有できるポートフォリオの存在が不可欠です。
現在、すでにデジタル空間におけるポートフォリオは広がっています。
プロジェクト学習では‥課題やテーマに関する情報やデータをネットで集める地域へ出向き状況を動画で自分の意図する角度でとり、仲間にライブで送る‥それらはデジタル空間のポートフォリオに蓄積、共有される。
授業や活動の区切りに振り返るリフレクションに使う、ルーブリックに今日の学びの進度をチェックする、それらは瞬時に集計され、他の学習者と比べるデータとしてフィードバック、ポートフォリオの一部となる‥等々。
デジタル空間のポートフォリオ、どう成長に活かす?
デジタル空間にあるポートフォリオならでは高度な活用が可能となります。
【1 意識化】
デジタル化されたポートフォリオは、時空を超えて、つねにビジョンとゴールを遠隔にいる仲間と共有しながらプロジェクト進行することを叶えます。
何のために何をやり遂げたいのか‥常に意識することでこれからすべきことが見えます。
【2 一元化】
プロジェクトのチームメンバーが各自、いろいろな場所や手段で獲得した情報や知を瞬時にデジタルポートフォリオに集結させ一元化することができます。
【3 俯瞰】
手に入れた情報やデータを俯瞰、共有します。プロジェクトの戦略や工程などもオンラインで常に俯瞰できます。インタネットで見る街の様子、細胞から人体、宇宙‥リアル、バーチャル多様な手段で俯瞰することを叶え発想を飛躍的に広げます。
天候の変化や生物の反応など刻々と変化する様子のまま、動画でデジタルポートフォリオへ入れます。
【4 顕在化】
リアルな教室での作業であれば、授業の終わりにチーム作業のテーブルを片付ける必要がありますが、デジタル空間であれば常に、そこにおいておけます、そこに“在る状態”を叶えます。
簡単に考えをマインドマップ的に表現することができるので思考、判断、表現、行動などの一連を顕在化することが出来ます。
解剖学、動物学、天体など3Dモデルでリアルに顕在化したものをポートフォリオに蓄積していくなども。
【5 価値化】
デジタルなのでポートフォリオの中身を簡単に並び変えたり、関係づけたりでき、その全体を俯瞰することができるので、それを見ながら「いちばん重要なことは何?」など相互に対話コーチングすることで価値を見いだすことがしやすい。
デジタル空間におけるポートフォリオを活かし、価値化=知の再構築する、「凝縮ポートフォリオ」を多様な手段と表現で遠隔から共同で制作することができます。
【6 行動化】
デジタル空間で知を集結する。その知は、ネット上で得られるものばかりではありません。
デジタルポートフォリオには実際の行動や“経験”があればこそ獲得できた価値あるものがたくさん入ります、何のために何をやり遂げたいのか‥プロジェクト学習のビジョンとゴールの存在が現実への行動を促します。
【7 フィードバック】
自らの行動や獲得した手段や内容がぶれていないか、多様な手段でいつでもデジタルポートフォリオはゴールへの軌跡を顕在化できるので確かなフィードバックができます。
【8 ストーリー化】
様々な情報や資料、データなどがどのような素材や形状であったとしても基本的に「デジタル化」されているので一つのフレームに容易に並べることができ一連のストーリとして、ポートフォリオの始まりから終わりまでを見ることができます。
ストーリー化することで知の成果を生むことを叶えた布石や伏線を見い出すことができます。
それは複雑な知の構築を理解する助けにもなります。
伝えたいことをデジタルで自在に表現できるので、イメージをそのままストーリー展開でプレゼンテーションすることも可能です
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※「一人プロジェクト」:2006年に書いた書籍『ポートフォリオ評価とコーチング手法』より引用。
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※参考:『目標管理はポートフォリオで成功する』
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※参考:『キャリアストーリーをポートフォリオで実現する』
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