『鈴木敏恵の未来教育インフォメーション』☆特別増刊11号☆

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☆『鈴木敏恵の未来教育インフォメーション』☆特別増刊11号☆
6月8日・木曜日発行
発行者:鈴木敏恵 編集者:梶原末廣 suzukimm@ma3.justnet.ne.jp
  [ホームページ] http://www.suzukitoshie.net/miraiinfo.html
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 これは、全国の体育の先生方へ年4回発行されている冊子『こどもと体育』113号 (光文書院 担当瀬崎氏
TEL 03-3262-3277)にインタビュー形式で掲載されたものです。発行すみですので、インターネットにのせてもいいと許可いただきましたので掲載いたします。
(でも、もしなにかの時は、出典を添えてくださいますように、)。
 みなさん、どうぞ、これを「学校の体育の先生と、養護の先生や担任をもつ先生、そしてもちろん生徒さん」になにかのおりにお話くださったら幸いです。 

目次

未来をひらく”ポートフォリオ”〜心と身を大切にしょう!〜

鈴木敏恵

「身体のポートフォリオ」をつくろう!

 子どもたちは国語,算数,理科,社会,総合的な学習の時間でいろいろなことを学んでいきますね。だけど,意外に「体と心を大事にしよう」っていうこの一言を,言われていない気がする。「これを覚えなさい」とか「これをやりなさい」とか,「これをやらないと大学受からないよ」とか「お友達と仲良くしましょう」と言われても,「あなたのことがダイスキだよ」とか「自分の心と体を大事にしなさいね。それは未来を大切にすることだよ、」というようなことを,心を込めてちゃんと言われていない気がする、こんな大事なことは他にないくらいなのに・・・。

 「自分の心と体を大切にしょう、」。こんなあたりまえで素朴なことが欠けている。そして、そういうことって、「それは家庭で、とかそれは学校や地域で、」なんて分けなくてもいいよね、子供を大切に思うなら、誰でも言ってあげればいい。 

自分を大切にすること、自分の成長をやさしく、しっかりと見るために有効な具体的手段として「ポートフォリオ」を子供の成長基軸として活かすことを提言しています。総合的な学習の時間のように、これまでのような評価ができない学習にも、これまでの教科にもポートフォリオは活用できます。もちろん、体育とか保健にも。

自分の心と体の気づきのためのファイル,身体をテーマにした「身体のポートフォリオ」が,今いちばん緊急性があると思う。

例えば,生理やSEXや生命についての学習するとき先生がプリントを配ったりするじゃないですか。先生が「大事にとっておくように」と言っても,子どもたちはなくしちゃって。つまり,新しい知識として先生がくれたものをどこかにやっちゃうんですよ。歯のみがき方のプリントや,よくかむと脳が活性化するとかいうプリントなんかを私ももらった記憶があるけど,みんなどこかにいってしまっていまる。

そういうものを時系列に沿って,しっかりファイルしておく。それって素朴で単純なことだけれどすごく有効で大事なこと。

 身体のポートフォリオには2つあってね。プリントのなど先生から与えられた情報と自己情報(自分から生み出した情報、これはプライベートに自分でもってるもの)がその中身。自己情報は何かというと,身長や体重のこと,生理の日とか,視力とか,歯のこととか,昨日の食事のこととかの自分だからこそ生み出せるデータや情報。普遍的な正しい外部情報と自己情報を一元化してファイルにまとめておく。

そういうふうに情報を一元化しておけるものがないとね、自分がいちばん必要な肝心な時に無い、ということになるでしょ、学校で先生から教わるときが自分にとって必要なときとは限らないでしょ。自身の心と体を大事にすることに関係する貴重な情報というのは,いつでも手の届くところにちゃんと一元化してこそ役に立つ。それが「身体ポートフォリオ」。与えらた情報と自分の成長情報が進行形でファイルされていくことで,今の自分がわかるわけです、そしてそれは、明日の自分のライフプランを考える上でもとても役にたつでしょう。「大事なことは、とっておかなければ!」いけないんです。

ポートフォリオは身体だけでなく,人間のあらゆる面での成長の基軸となるものです。「昨日の自分より明日の自分
がよくありたい」という意識へとなります。時系列でまとめることで,自分の身体について長いスパンで客観的に見つめていくことができるんです。学校の勉強ってね,この単元とか,この時間とか,非常に短い時間で判断するでしょ。

 「身体」というのは,単元という特定の時間内で終始するものではないでしょ、「身体」は、代えがきかない船のようなもの、ポートフォリオをもつことは、「私の船」を大切にすることに繋がります。良い船頭さんは船を大事にするんだよ、って子ども達へ言ってあげて欲しい。

 単元は学校にいる間だけだけど、身体のポートフォリオは、生きていく中でずっと永く彼らの役に立ってくれるでしょう。

「 マッチョマン系」と「癒し系」をつなぐもの

 養護の先生というと,保健室に来る子どもを待っているという「待ち」のイメージがあると思いません?でも私の大好きな養護の先生は,教室に行ってプリントを配ったり,大切なことをお昼の校内放送で レクチャーしたりとか,積極的に活動しています。

「素晴らしき闘う養護教諭」です、彼女は、ひとえに子ども達のために、いろいろ既成の枠を超え、なにかしようとしているんです。

 養護教諭は、「保健の授業」に限ることなく周期的に積極的に教室に出向いていくことが大事だと思う。だって考えてみて、すべての教科で「人間,身体」に関わらないことって突き詰めるとないですよ。環境とは、理科とか、生きる力なんて、心に直結するものでしょ、心と体はひとつでしょ。そう考えると,これから養護の先生の果たす役割はほんとうに重要。あと昔からすごく不思議に感じていたことがある。

 どうして「養護の先生」と「体育の先生」との距離がなぜこんなに離れているのかということ。同じようにどちらも子供の健康や身体の健やかさのためにいるのではないの?確かに切り口は違うかも知れないけれど、養護教諭が今日的に健康への積極的戦略として、子供に関わろうとするときには、かなり体育の授業と目的は近くなるのではないですか?少なくとも今は、けがや病気にで来る人を待っていてアカチンつけて慰めてあげるというだけの養護教諭イメー
ジから、脱却する時代です。  

 子どもたちの幸せのために、いい心といい体,いいコンデションで日々を送らせてあげたいという目的は、体育も養護教諭もいっしょなのに,その両者のどこに接点がある?。体育の先生というとマッチョマン系のバリバリ(そうでもないか?)で,かたや養護の先生は白い服着てやさしいイメージ 。アグレッシブと癒し系で……。

そこのところに接点がいるでしょう 。それが「身体ポートフォリオ」ですよ。先生方の望みはいっしょなのだから、その子の「身体ポートフォリオ」をよりどころにして両者が連携をとりながら子どもたちの体と心についてアプローチしていく。これが可能になるんですよ。  

 「身体ポートフォリオ」を子ども達に指導したい、ここで課題は、担任の先生の理解でしょう。なんといっても担任の先生の協力が必要でしょ。

 養護の先生1人がポートフォリオを作ろうとしてみても,もともと、ポートフォリオは「継続」が要だから、継続的に子供と日々関わることの出来る人のコンセンサスや協力がいるんです。用紙の大きさからはじまって,日付を入れて時系列でファイルしていくこと,ファイルをもとに評価についてどうするのかといった点まで含めて担任の先生の理解と協力がなくてはうまくいかないんです。担任の先生が いちばん子どもの生活に関わっているわけですから。

 自分の心と体をハッピーにしていくという目的に向かって子ども自身も自分の体を大切にすることに気づく,担任の先生も養護の先生ポートフォリオをよりどころに心と体について子どもたちにアドバイスができるわけです。

体育を、クリエイティブなドラマに・・・

 私の学校時代を振り返ってみると,「強制された学び」がほとんどだったと思うのね。でも誰だって「やれ」と言われてするのは好きじゃないでしょ。総合的な学習が成功するかしないかは、いかに子供自身のモチベーションをかきたてられるかどうかでしょう、その鍵は「テーマは子供たちから」ということ。そしてもし教科でも、やはり、なんのためにそれをするのかな?と子供の心に湧いた時に「そんなこと言ってないで、やればいいの!」と言われたら、やる
気無くなる。せめて、う〜ん先生も確定的な理由はわからないが、いろいろ淘汰された研究の結果なんだよ」と言ってくれたら。

 でも体育って…例えばバスケットね。バスケット知らなくてもいいじゃないという子どももいるかもしれない。これに,はじめに答えるもの「バスケットっておもしろいよ」という共通認識に立てるような学習デザインが必要なんですよ。子どもたちの モチベーションをかき立てるような。

たとえば、「バスケットは世界中のいろいろな国で行われていて,どの国に行ってもボール1個でコミュニケーションができる。英語ができなくても友達できちゃうんだぜ!」とかね。

ダンスなどは自分たちで作品を創って,それを「表現する」から子どもたちのモチベーションは高いですよね。鉄棒とか跳び箱というのは 見ていておもしろくないけど,やっぱり芸術性があるものっていうのは見ていておもしろいじゃないですか。だからね,一年間の体育の最終成果をね,ドラマにしたらいいんだよ。

身体表現で無言のドラマを創ろうということなどね。表現するとか創作という喜びがないとね人は動かないですよ。こういう過程の中で,体育でも問題解決能力が成長していく。それに感性とか創造性,独創力,表現力,行動力とか立ち向かう勇気とか、コミュニケーション能力とか。体育でも他の教科でも他の教科でも同じ。

 身に付けたもの、INしたものを子供たちが自分自身でプロセスを考え最後は、成果としてOUTできるようにデザインできるはず。
 真剣に向かう心、工夫や創造性や感性があふれるような….何かが出来るようになる嬉しさや生きる喜びは、自分の可能性を出しきるような表現のシーンで開くのではないでしょうか?。
 つきるところ体育先生をはじめ先生方の仕事の目的は、子ども達の心と体の成長と幸福にあるのでしょう?

鈴木敏恵
http://www02.so-net.ne.jp/~s-toshie/
千葉大学教育学部講師/未来教育デザイナー/一級建築士 

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 私は、とてもすばらしい友をたくさんもっています。中でも、わたしにすてきなことを気づかせてくださったのが熊本の澤栄美先生です。日本ではじめての教護教諭のメーリングリストをつくられたすてきな女性です。上記の文中にでてくる■「 マッチョマン系」と「癒し系」をつなぐもの 〜〜〜でも私の大好きな養護の先生は,教室に行ってプリントを配ったり,大切なことをお昼の校内放送でレクチャーしたりとか,積極的に活動しています。「素晴らしき闘う(闘うって喧嘩するんじゃなくて、未来へのドア、のノブをギュって握る感じ!)養護教諭」です、彼女は、ひとえに子ども達のために、いろいろ既成の枠を超え、なにかしようとしているんです。 〜〜〜」は、澤先生のことです。
 「人間の賢さ」には「行動力」も含まれると考えます。澤先生は、本当に賢い人です、おまけにやさしいです! そして「あははっ」って笑う気持ちのいいキュートな人です!

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澤先生との対談もこんどの新刊にはいってますどうぞお読みください。

鈴木敏恵著 『ポートフォリオで評価革命』  学事出版 
(担当”ken sakamoto” <ad6k-skmt@asahi-net.or.jp>)

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===編集後記===
 「未来教育MM」特別増刊11号お届けします。
 書きたいことがいっぱいあるけれど、今回は本文にあった文章で
<意外に「体と心を大事にしよう」の一言を言われていない気がす
る。「これを覚えなさい」・「これをやらないと大学受からないよ」
と言われても,「あなたのことがダイスキだよ」とか「自分の心と
体を大事にしなさいね。それは未来を大切にすることだよ、」>に
注目して一言。教師が発言するときの主語が「あなた」になってい
るとよくないということですね。むしろ主語が「わたし」の方がず
っとよいということです。「目の前で起こっていること」「それを
受ける私の影響」「私の感情」これをセットにして発言する。以外
とうまくいく。「わたしメッセージ」を使いましょう。(わたしの
感情に素直にね)
編集後記に筆者(鈴木さん)からのコメントです。
「あなたでもいいとおもいます。おつたえしたかったのは、大切だ
よ、とか、いいね、という素朴なことばを意外に言われていないこ
と、です。」
 皆様のご意見ご感想お待ちしています。
                    (梶原 末廣)
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『鈴木敏恵の未来教育インフォメーション』☆5月5日創刊☆
発行者:鈴木敏恵 編集者:梶原末廣  suzukimm@ma3.justnet.ne.jp
          【発行部数717名】(6/6)
◎バックナンバーURL
http://bn.lib2.com/backnumber/frame.cgi?id=0000031436
発行システム:インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
                     http://www.mag2.com/
■【未来教育MM】●マガジンID:0000031436
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