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【鈴木敏恵の未来教育インフォメーション】
第680号/2021年7月26日発行[転送可]
発行者:シンクタンク未来教育ビジョン
鈴木敏恵( http://www.suzuki-toshie.net )
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オンライン講演の前のルーチン
もう日常となったオンラインでの講演。1日に九州、関西、関東、東北と次々に講義や打ち合わせをした日は本当にZoomさんありがとう!あなたのおかげですって言いたいです。
先日は福岡県教育センターの主催で県立高校の先生方へ[意志ある学び]の連続研修の講師をしました。
同じ空間にいるみたい
福岡と横浜は1000km以上離れています、でもZoomであれば現実ではありえないくらい相手の顔の真ん前に私はいます。リアルな対面による講義ではありえない、その人の顔の真ん前にいます。
まったく距離を感じないインタラクティブな研修になるようにできることはすべてします。
オンラインなので先生方はご自分の学校からZoomに参加します。
Zoom画面はもちろん顔出しで互いに個性豊かに登場していただき自由で躍動的な空気になることを大切にします。
事前に参加される先生方の学校のホームページを見たり、福岡のどこだろう?とGoogleの地図を追ったり、YouTubeで学校名の検索をして各学校の学生さんたちの活動を視聴したりします(部活の様子が多いかな‥)。
ここで役に立つのがポートフォリオの存在です。
ポートフォリオを見せあいながら自己紹介していただきます。聞きたいことなど言葉を掛けながら、互いのビジョンやキャリアを理解し合い笑顔で楽しくスタートします。
ポートフォリオに写真があると一層、話が弾みます。
できるだけ参加された先生方一人ひとりの名前で呼びかけます。
ポートフォリオを活かし、経験や学校自慢や課題研究への取り組みなど共有します。互いに敬意で交流でき、一気に距離はなくなり、みなさん知的好奇心で伸びやかに学びあえる空気になります。
2日に渡った研修の最後のあいさつで「離れていても敏恵先生、同じ空間ですぐそばにいるみたいでした。」と参加された先生が言ってくれました。グッときました、すごく嬉しかったです。
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最近は、ほぼ毎日オンラインでの講演です。
私は講義の前に必ずネットで講義先の街の風景を見ます、これから会うみなさんが日々見ている風景を私も同じように見たいからです。そして「今日は、ここのみなさんと会うんだ‥」と心をその地に馳せてスタートします。
ポートフォリオとオンライン学習(1)
その人がずっと熱心に取り組んでいること、工夫したり学んだりして目の前の現実に活かしている話しを聞くことが私は大好きです。
40センチで出会う「ギャラリービュー」
Zoomで出会う参加者に私から話しかけます。Zoom、ギャラリービュー、たくさんのお顔が40センチの近さで見えます、お名前もわかります。その様子で、なんとなくお気持ちも伝わります。だから「○○さん、こんにちは!!お話しできますか?ご専門は何ですか?」というふうに声をかけます。
はじめは「えっ?私?」という身振りをされていても、ミュート解除してすぐに応えてくれて楽しい対話‥そのやり取りを関心深く他の方が聞いています、いろいろな価値あることを伺うことができます、こういうシーンが意外にもとてもよい交流と学び合いの空気をつくります。
オンラインだからこそ心馳せて‥
オンライン講義で私がみなさんへ話しかけるのは、人と話すことが好きだから‥だけでなく、それが何100キロ離れたオンラインで一緒に仕事をするときの成功の秘訣だと知っているからです。
山口で8月にキャリアパスポート(ポートフォリオ)の講演をします。そのために山口県の中学校の先生方と講演会の事前打ち合わせを楽しくしました!
(写真使用許可済みです)
創造的な何かを生みあげる
距離があるからこそ、距離を忘れる工夫がいると実感しています。なぜ距離を感じない互いの近さ、親しさがいるのか、それがその時間でみんなが参加して一緒に考えて頭を働かせて創造的なアウトカムを誕生させるために必須だからです。
オンラインによる学習や研修会で、講師だけが一方的に話し続けるのであれば、ライブで双方向である必要はありません。
たとえデジタル空間であれ、何らかの目的のために、願いを持つ人と人が40センチの距離で顔アップで会える、この時間に価値ある創造的なものを生みあげることができる、そのために会う、そういつも私は考えてZoomの画面に向かいます。
オンライン?対面?ハイブリッド?
オンラインか?対面か?それらを組み合わせたハイブリッド型の学びか‥という選択や議論に時間を費やすのではなく、いかに創造的な思考、学びを実現するかという視点から考えることが大事でしょう。
オンラインか?対面か?という手段の選択が先にあるのではなく、人間を大切にできる新しい時代の新しい教育を未来に描きたいと思います。
「正解がない学び」の時代だからこそ‥!
いま学校には「正解がある学び」と「正解がない学び」があります。
例えば、教科、専門学習など従来からあった学びには「これが正しい」という正解や定型がありますので「正解のある学び」と言えます。
一方、総合的な学習、探究、課題解決‥プロジェクト学習などは、「正解がない学び」です。
ここから以後、「正解がある学び」をY、正解のない学びをXと表現します。
Yは、ペーパーテストで評価できる、数値化できる、測れるものです。
[X]は、探究やプロジェクト学習などです。それは、
・数値化できないもの
・正解のない学び
・全体・総合的なもの
・プライスレスなもの
YもXも、人が生きていくために必要なものです。
しかし時代はXを求めています、それはAIやロボではできない人間でなくては果たせない創造的で人間的な何かを高める学びだからです。
次号へ続く