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【鈴木敏恵の未来教育インフォメーション】
第658号/2020年11月27日発行[転送可]
発行者:シンクタンク未来教育ビジョン
鈴木敏恵( https://www.suzuki-toshie.net )
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エッセイ:よい未来へのマネージメント
カリキュラムマネージメントをはじめとし「〇〇マネージメント」という表現は山ほどあります。このマネージメントという言葉をどのように理解したら、よい未来へ向かうでしょうか?
「マネージメント」=管理?
マネージメント(management)を辞書で調べれば管理、経営、運営、制御、操作‥など出てきます。一般的には「管理」と訳すことが多いでしょうか。
しかし建築設計を経験している私は「管理」というと設備管理(EVや空調など)のイメージが浮かびます。また今であれば、在宅でリモートワークをしている部下の仕事状況(PC)を上司が進捗(やサボり?)などを「管理」できるシステム導入が話題です。
管理教育という学校(教員)が命令するような昔のイメージも浮かびます。
‥‥なので、マネージメントする=「管理する」というような解釈には“ちょっと違うぞ”と私は感じます。じゃあどんな言葉がいい‥?“マネージメント”とは活かすこと!と頭の中でワクワクしながらイメージすることをお勧めします。
「マネージメント」とは活かすこと!
人を活かす、チャンスを活かす、いい感じです。ただし活かせるためには、こちら側の覚悟や変容も求められます。
空調マネージメントであればスイッチ一つでできます、いいえ今ならそんなことはAIが最適感知で自動的にしてくれますが、目標到達、人、状況などをマネージメントする=活かすためには、その人や現状をまずはこちらが「知る」必要があります。
空調設備なら性能や機能が書かれたマニュアルを読めばすぐに知ることができますが、人や状況を理解するためには、その背景なども含めた想像力や洞察力、ときに相手を受け入れることができる人間性が必要となります。
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よい未来を目指し、次世代教育へオンライン学習を成功させるためのマネージメントとは、そのものが秘めた可能性や魅力を引き出せる極めて人間的なもの!と受けとめるといいのではないでしょうか。
意志ある学びーオンラインで未来教育[SEE図]
新型コロナウイルス感染対処を意識した、生活スタイルや仕事の仕方、そして学習環境を考えることはもはや当たり前となりました。
リアルとデジタルをどう組み合わせて、最適化できるか、状況によっては、かなりの比重で再び遠隔授業がスタートしてもいいように前向きに備えます。
ここに役立つように未来教育MMの近号は「オンライン講義に命を吹き込む」を連載でお伝えしています。
オンライン学習を成功させる3つのマネージメント
オンラインで学習を成功させるためには、環境、教育、そして自分自身、この3つのマネージメントを考えることが必要です。
「1. 環境(Environment)マネージメント」
「2. 教育(Education)マネジーメント」
「3. セルフ(self)マネージメント」
この3つをわかりやすくイメージ図にしたものが[SEE図]です。
前号では[SEE図]の左サイドの「1. 環境(Environment)マネージメント」について主にお伝えしてきました。
[GIGAスクール構想]の前に大切なこと
1人1台端末で学べる時代がすでに始まりつつあります。
文部科学省「GIGAスクール構想」
https://bit.ly/3g3a1rZ
しかしいくら高度な通信環境や情報端末、スタジオなど『環境マネージメント』を整備しても、考え尽くした『教育マネージメント』を構想しても『セルフマネージメント』がベース(基盤・土台)として尽くされていなければ、そのすべては意味を持ちません。
『最も大切なセルフマネージメント』
セルフマネージメントとは、目的意識をもち自ら学ぶ意志、自分を客観的に見て精神や感情をコントロールできること。「自分で自分を活かせる戦略や能力」とも言えます。
セルフマネージメントは自己管理と解釈すべきではありません、先にお伝えしたようにマネージメントとは「管理」ではなくワクワクと知的に「活かす」こととだからです。
自分で自分を活かす、動かす、時に制御することも、自宅におけるオンライン学習ではあるでしょう。自らを律する、自律という言葉もキリリッとしてぴたっときそうです。
自分自身を律することができる能力。自ら学ぶ意欲を保てる意志とも言えます。
環境マネージメントは学校が予算整備することができます。
教育マネージメントは先生が新しい発想で向かうことで作り上げることができます。
しかしセルフマネージメントは、学習者自身の内発的なものです。
それは上から「セルフマネージメントしなさい」と言って、叶うことではありません。
ではどうしたらいいのか、ここにこそプロジェクト学習やポートフォリオ、対話コーチングが活きます。
(次号に続く)