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☆『鈴木敏恵の未来教育インフォメーション』☆特別増刊28号☆
7月４日・火曜日発行
発行者：鈴木敏恵 編集者：梶原末廣 suzukimm@ma3.justnet.ne.jp
[ホームページ] http://www.suzukitoshie.net/miraiinfo.html
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【特別増刊−連載５】
「未来教育デザイン」（５） 〜 情報教育・ネットデイ・ポートフォリオ 〜
鈴木 敏恵
■情報教育とポートフォリオ
さて、ここからは、情報教育と「ポートフォリオ」の話をしたいと思います。ちょうど手元に、これは去年私が行ったシリコンバレーの高校の資料があるのですが、ここは、 創立百年近い名門校で、いわゆる進学校なんですけれども、自分の研究課題をポートフォリオでＣＤにするわけです。それもパワーポイントで作る。
つまりそもそもプレゼンテーションが出来るかたちで、プレゼンテーションソフトでポートフォリオを作るわけです。自分のテーマを一つのポートフォリオということでまとめて、成果をあげるわけですけれども、それを単にファイルでというのではなくて、ＣＤにする、つまり電子ポートフォリオです。それをまず教室でプレゼンテーションをする。
向こうの学校のいいところは、プレゼンテーションするだけではなくて、特にこれはシリコンバレーですからね、質問とディスカッションを濃厚にするんです。
例えば、一人の学生が、例えば中国の歴史というポートフォリオを作ったとしますね。そうしますと、それに対して、学生たちが矢継ぎ早に質問する。そして、そのことに対して、答えたりディスカッションになったり、いろんな形態に発展する。このようなことがどうして良いのかというと、「思考のクオリティ」を高めることになるんです。
■知の再構築「ポートフォリオ」
思考を淘汰、凝縮する、これはポートフォリオの極意に通じます。
頭脳の中に、ある種の「知の構築」をするために行う行為なんです。
ポートフォリオは、そもそもそういうものなんです。一回の学びを流れの中で体感するだけでは、知の構築は出来ません。再構築する必要があるわけです。再構築ということは、一つのテーマによって集められた素材情報とか、仮説とか、推論とか、データとかを、一度まっさらに解体するわけですね。そして、改めて構築する。
これは基本的には自分自身の深い思考、自分との対話がまずはじめにありきですが、先生やクラスのディスカッションで行うことも有効でしょう。
再構築は深い思考技術を養います。ＡО入試にしろ、企業に入るにしろ、今求められているのはこういう力なんです。いわゆる先への予測ができて、そこに論拠を組み立てられて、行動に移せる、今言うところのコンピテンシーですね。予測戦略、戦略思考とも言えます。戦力的思考ができる人。
これからＡＯ入試が増えるでしょう。これは最前線のテーマです。
私の友人の高校生は、中学校の時からコンピュータを自分で持っていて、何をするにしてもデジタルコンテンツにして蓄積してきたわけです。つまり、自分の活動に対するデジタル素材情報がたくさんあった。
それだけではなくて、非常に活動的で、コロンビアで地震があるといったら飛んでいき、シンククエストという世界的な教材づくりのコンテストがあるんですが、それでも優秀な成果をあげました。疑問があれば専門家に会いに行く。非常に行動力がある若者です。インタビューとか写真とか全部、デジタルコンテンツであります。それを再構築して「CDポートフォリオ」を入試に活かしました。それで、今年、慶応義塾大学のＳＦＣにAO入試で入ったんです。
（次号に続く）
■出典 学事出版『月刊高校教育』７月号 掲載——————
「特集：情報教育をどう進めるか」インタビュー：鈴木敏恵氏
参考文献
「ポートフォリオで評価革命！」学事出版
「ネットデイで学校革命！」学事出版
「マルチメディアで学校革命！」小学館
「鈴木敏恵の未来への提言」学事出版
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千葉大学教育学部講師/関東学院大学工学部講師
未来教育デザイナ-/一級建築士
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