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☆『鈴木敏恵の未来教育インフォメーション』☆創刊5号☆ほぼ日刊☆
5月10日 水曜日発行
発行者:鈴木敏恵 編集者:梶原末廣 suzukimm@ma3.justnet.ne.jp
kanoyu@po.synapse.ne.jp
[ホームページ] http://www.suzukitoshie.net/miraiinfo.html
【発行部数532】(5/9現在)
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ポートフォリオ連載 no4
〜〜 ポートフォリオとは? 〜〜
鈴木 敏恵
すべてを大切にしていたら
作文、返されたテスト用紙、描いた絵、レポート、図面、提出したスケッチパース、模型作品…私の「学習成果」の「モノ」 は、いまどこにあるだろう?もしかしたら引き出しの中や押入の奥にあるかもしれない、学校から返して貰っていないものもある。すべては散在しているか、紛失してる。仮にどこかにあったとしても過去の遺物としておそらく殆どゴミ化して、探しようがない。とにかくこの点在する「学習成果」は、価値を持たず、活きることがない。
しかし、もし私が一年間に一つの段ボールでも、厚い一冊のファイルでも持ち、とにかくそこにすべての「学習成果」・・小論文、作った模型写真や図面、描いたデザインスケッチなどを「時系列」で入れていたらどうだろう?
それは、勇気や力を与えてくれる
それを一年間の終わりに机の上に置き、パラパラとめくっていったらどうだろう?そこから一年前には出来なかったことが、「出来るようになった私」が見えるだろう。学習や訓練を繰り返してきたお陰で「私の身に付いた力」や、新しい経験や知識を受け入れたり、教室でみんなと意見交換して話し合ったりしてきたことで「成長した自分」が見えるだろう。あるいは、熱心に取り組んだひとつの研究資料がたくさん出てきたら、これをまとめて「本」にしたい、と思うかもしれない。そのためにあらためて勉強しなおすかも知れない。
未来へ渡るパスポート
「あなたは何が出来ますか?」という問いに対し、私なら自分の「仕事歴/ポートフォリオ」を見せるだろう。同様に、学生も紙一枚の「成績表」を見せるより、自分の「学習歴/ポートフォリオ」を見せた方がずっといい。そこからは点数や学歴や資格を超えた、その子の全体が表れ、その子だけが持っている個性やセンスやスキルが伝わるばかりでなく、「自己確認されたの成長の軌跡」さえも見えてくるのだから。
高校や大学の入試、企業へ就職という大切な時、成績表と内申書だけで判断されるのはいやだ。未来を決める勝負の日には、自分の意志で積み重ねてきた「証し」を持って行きたい。
そしてまっすぐ顔をあげて、「私は、これが私の得意なことです、これがその成果です。」そうポートフォリオを広げ言いたい。これまでの自分のしてきたことを誇りに自分の未来を開きたい。ポートフォリオは、自らの意志で、未来へ渡るパスポートなんだ。
鈴木敏恵 近刊 『ポートフォリオで評価革命』
〜その作り方・実践事例・授業案〜 より抜粋
(学事出版担当坂本氏 ”ken sakamoto” <ad6k-skmt@asahi-net.or.jp>)
2000.5月末発売
新 連載1{未来教育探訪旅行エッセイ}
◆「未来」へ…
サンフランシスコでの美しい記憶…未来と、教育と、人生について考える時、必ず思い出す、美しい思い出。
そこは、エクスプロラトリアムというミュージアム。囲む庭園は、深い木々と古代ローマのオブジェが不思議な静寂を醸し出している。
◆米国の博物館は、ハードよりソフトに予算を掛けている。
館内には、たくさんの仕掛けやコーナーがある。日本の科学博物館的なものとの違いは・・・いろいろあるが、床がきれいじゃない、つまり日本がきれいすぎる。日本ならとにかくぴかぴかにどこもきれい。モノが整い、きれい。でも米国の博物館は、ハードよりソフト、つまり運営や人やコンテンツの「発展性」に予算を掛けている。
そして運営に市民自身が大きく関与している。しかし日本は違うと思う。「作るのは、自治体」「重視は、ハード」まだその意識が一般的。
日本は、「見えるもの」にだけ価値や予算を認めるという社会の意識を感じる。またどんなに立派なものをつくろうと、その完成後のマネージメントや運営や発展のための「知恵」や「システム」や「経費」の確保がすくない。日本の場合、完成当時に「建物」と「イベント屋さん」にお金をはらい、完成時にテープカットする時に、エライ人がいらしてというようなことがまだまだ目立つような気がする。
しかし誕生したものが生きるかどうか、はそれからがすべてだ。ここに予算や人や仕組みがいる。エクスプロラトリアム以外でも伺ったことだが、博物館の運営委員会(すごく日本的表現ですがほかに言いようがつかないので)のメンバーに地域の大人たちはもちろん、子ども達、中学生や学校の先生がはいっていた。日本だと委員会というとどうしても専門家や学識経験者が主流。
最近では、すこしづつ変化ありだが・・・とまあいろいろなことを感じながら・・館内を歩き出す、ちなみに私は、英語ができない。書いてある「説明」が読めない、残念、無念!。でも!仕掛けやそこにおける少年たちの動きでOK!おもしろい。
◆あれってオリジナルじゃなかったのね!
そして気付き、またいろいろ考える。
日本で新しい博物館や科学センターにおける仕掛けやディスプレーがいかに「米国のまねそのままがおおいか!」。アイディアがそのままずばり同じ!(例えば、恐竜の巨大な骨の脇に人が立てるようになり高さ(大きさ)が実感できるようになっている、ディスプレーなど)。
イベントやこの手ものは、オリジナルのようでそうでないことが日本では多いと思う。それは博物館や科学センターばかりではない、イベントにもいえること。
10年ほどまえに市制100年などの博覧会やイベントが日本各地で行われたが、当時から、各地へいくことの多かったわたしは、しばしば「ああ、あのイベントやさんの企画だな」とひとめでわかったものだ。誰もが知っている大きな広告会社(企画・催事・テレビコマーシャル・イベント企画とスタッフ派遣)が、随分、自治体のイベントをうけおい仕事をしていたものだ。私自身、教育や学校関係のイベント企画やプロデュースの経験もあり、なかなか面白くいろいろ気付きながらいる。
都市がはなれていれば、同じ企画書を出している、であろうとおもった。そしてそういう会社の方はアメリカやヨーロッパなどへきっといって、そのおもしろそうなアイディアを時にそのままつかうことがあるということが、外国の科学センターや博物館へいってはじめて気付いた。あれってオリジナルじゃなかったのね!とおもったのだ。企画力や創造性、オリジナル性にこそ価値を認めその代価をはらうべきと感じている鈴木だ、いろいろなことが胸に去来する・・・日本の各自治体や博物館関係者は、「企画」がオリジナルじゃないこと、しってたのかな?それともそれでいいのかな?なんともいえない。そのこと自体が言い悪いではなくて、興味深いと思う。
◆明日へ続くソフトやコンテンツにこそ予算や力をそそがなきゃ、 日本の場合。アイディア・運営・スタート・システム・・あるいは「コンセプト!」までもを、外部に委託しすぎていないか?とおもう。時に自治体までもが。仕組みとして住民も納得ならOKだ。自治体や行政がいろいろなことをアウトソーシングすることもいい。
知恵が流通するから。それに人であれ、組織であれ、誰もが納得した選択をする自由があるのだから。でもやっぱり、長期ビジョンが欲しい、なぜなら、運営や発展やマネージメントというものは「一時」のものでなく「長期」であるのだから・・長期、つまり予算は完成してからこそ欲しい。
アイディア・企画・知恵の共有・全体マネージメント(管理、維持、運営、、)評価、フィードバック・・これらのことを地域や企業と住民や学校やこどもたちみんなみんであつまり、新しい未来教育的施設を生み出す仕組みこそがこれからますます日本にいるものと感ずる。これらの試みは少しずつ日本でも始まっているが、やはり大きなところでいつも「お上と、町民」的な日本。と、戦いながら苦しみながら民主主義を自分たちで生みだしてきた国との差を感じる。
このへんのことは、学校や教育についてもまったく同じことがいえる。学校に徐々に情報化が確かに始まっている、すごく嬉しい。でもコンピュータや校内LANを補助金で「数」を満たすだけじゃだめ。コンテンツ・メンテナンスやテクノロジーコーディネータや・・とにかく明日へ続く予算や仕組みにこそ力をそそがなきゃ、と思わずにいられない。
学校や教育は未来の源だ。ここに価値をしっかり感じることがなくては、人間は終わりだ。知性と感性、未知なるもの・・への敬けんな慎みなくしてどうして人は人だろう?どうしてそれでよりよい未来がひらけるだろう・・・。
◆日本も変化が始まっている!それは学校から・・。
でも!すばらしいことに、日本も動き始めている。変化が始まっている、その分かりやすい最たるものが、いま日本各地で広がっている「日本版ネットデイ」の広がりだ。「日本版ネットデイ」このことを書き出すと、またきりがなく、まずます当初、おつたえしょうとおもっていたサンフランシスコのエクスプロラトリアムというミュージアムから離れてしまうので、「日本版ネットデイ」のことはまたあとで・・・。
とにかく!日本も変化が始まっている、どんどん学校に地域の知恵や豊かな経験や専門をもつ人々が関わり出している。そしてなにより素晴らしのは、学校の先生方のアイディアや創意や工夫、企画力がどんどん発揮できる環境や状況が広がっているという事実だ!。
そして、情報テクノロジー、ネットワーク・・社会のダイナミックな変化がその強力な追い風になっていることは誰もがみとめる事実だ。
◆学校には「知恵者・アイディアマン・企画ダイスキ人間」がいる!
私は一年間に50回ほども日本各地の学校や教育現場へいく。そしてなにより先生方の友人が多い、このMMの編集長をして下さっている梶原さんもそのおひとりだ。そこでなんといってもすごくすごく実感するのは、素晴らしい人が学校にたくさんいるという事実だ!人間的にすばらしいばかりでなないのだ、いわゆる「知恵者、アイディアマン、企画力のある人、惜しみなく未来社会へ貢献したいという高い志しのある価値ある人々」が豊かに深く、この日本の教育現場にあふれるほど、おいでになることか!。それはしばしば新聞やテレビがひとくくりで「学校の先生は〜〜」で表現されるようなそこの浅い、均一性ではない。
これから日本の学校も自分で稼ぎ!自分で自立していく、社会の中で、きっちり存在していくようになると私はおもう。率直にいって、教育委員会以外からも、存続、自立の「予算」や「手段」を確保していくことが必要となるだろう。その時、このすばらしくしたたかな(この言葉を私はこれまで、少しよくない意味と誤解していた、しかし”したたか”とは、力強く、骨太に知恵を使い、事態に勝つ陽動作戦的な力、ということだ)先生方、事務のかた、学校のみんなで学校は自立してコミュニティーからその運営予算や人々、スタッフなどを得ていかなければ存在しえないと思う。
・・・サンフランシスコの認知科学博物館へいったときの話しをかくつもりが、ずいぶん方向が変わってしまった。ごめんなさい。
もとい!サンフランシスコのエクスプロラトリアムというミュージアムのはなしは、絶対、次号に書きます、お楽しみに!
(2000.5.9、23:20 鈴木敏恵)
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プロフィール: すずきとしえ/未来教育を提唱する第一人者/NHKTV
「視点・論点」テレビ、ラジオ、新聞などで教育ルネッサンスを熱く
語る。ナレッジマネージメント・IT・感性を教育界に吹き込む未来派
シンクタンク/文部省、郵政省公職歴任/著書『マルチメディアで学校
革命』小学館6刷/『鈴木敏恵の未来への提言〜21世紀バイブル〜』
『ネットデイ学校革命!』学事出版/『未来教育/総合的な学習〜ポー
トフォリオ』『未来教育/総合的な学習〜プロジェクト学習』VHS 明
治図書発行(申し込みは http://www02.so-net.ne.jp/~s-toshie/のみ)
◆インターネット
◇鈴木敏恵のヴァーチャルオフィス http://www.suzukitoshie.net/
◇鈴木敏恵とポートフォリオを作ろうML
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—編集後記—
創刊5号ご購読いただきありがとうございます。
一言で「熱」。私は今回の原稿を編集しながらこの言葉をつぶやいた。
ここにはまさに躍動して生きている人間がいる。ほんとうの人間がいる。
この伝わりは何なんだろう。どこから生み出されるのか。地底のそこの
マグマが滾っているかのようにである。ますます惹かれるのである。
{未来教育探訪旅行エッセイ}新連載も開始しました。お楽しみください。
皆様のご意見・ご要望・ご感想お待ちしています。(梶原末廣)
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『鈴木敏恵の未来教育インフォメーション』☆5月5日創刊☆
発行者:鈴木敏恵 編集者:梶原末廣 suzukimm@ma3.justnet.ne.jp
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発行システム:インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
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━━━━━━━━━━━以下情報━━━━━━━━━━━━━━━━
☆ 「質問コーナー」&【掲示板設置】
・「ポートフォリオQ&A掲示板」
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・「未来教育全体掲示板」
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◆鈴木敏恵未来教育ライブ(講演)
◇5月12日(金)神奈川県 ◇5月27日(土)東京
◇6月 1日(木)東京 ◇6月 5日(月)長野県
◇6月14日(水)東京 ◇6月19(月)神戸市
◇7月8(土)9(日)横浜 ◇7月12日(水)つくば/文部省
◇7月24日(水)神奈川県 ◇7月27日(木)奈良県
◇7月28日(金)鳥取県 ◇7月29日(土)〜熊本県
◇8月16・17日(水・木)鹿児島県 ◇8月 9日(水)徳島県
◇8月11日(木)東京 ◇8月25日(金)岡山県
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◇8月16・17日(水・木)鹿児島県 自由参加です。
どうぞご参加ください。
■鈴木敏恵の「ここから見える未来教育 in 霧島!」
〜総合的な学習&進路指導&ポートフォリオ〜
8月16日(水)〜17日(木)
・上記日程の中で一泊二日のセミナー開催
参加募集人数:60名
場所:鹿児島県立自然ふれあいセンター
講師:鈴木敏恵
費用:1600円(一泊二日日)<食費とシーツ代>
詳細は逐次「未来教育MM」等でお知らせしますね。
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鈴木敏恵
未来教育デザイナー/一級建築士
◇鈴木敏恵のポートフォリオ http://www02.so-net.ne.jp/~s-toshie/
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