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【鈴木敏恵の未来教育インフォメーション】
第668号/2021年3月12日発行[転送可]
発行者:シンクタンク未来教育ビジョン
鈴木敏恵( http://www.suzuki-toshie.net )
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「個別最適の学び」をゼロベースで考える
今までなかったことや新しく言葉が広がろうとしているとき、そのまま受け止めず、ゼロから考えます(多分デザイナーや作家や建築家、プロジェクト構想など、世の中へ何かを生み出す仕事の人はみなそうだと思います)。もし与えられたものを前提にして始めると物事の本質が見えなくなりそうだからです。
いま関心の高い「個別最適な学び」という言葉もゼロから考えてみたいと思います。
でもその前に‥まず「個別最適な学び」と聞くとどんなイメージが頭に浮かぶでしょうか。
「個別最適の学び」をAIが実現!?
「学習者一人一人の理解度や進度にあわせて、AIが個別最適な学びを実現します。」というキャッチコピーとともに「教室で生徒たちがPCに向かいそれぞれのペースで学んでいる」映像が浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
AIが「この学習者は、この箇所で誤った回答を繰り返しする傾向がある」とか、「この学習者は、このような問いかけ文だと答えの入力に毎回時間が掛かるので、もう一段階前の易しい内容にヒントを添えて出そう」という具合に個別最適な学びを提供してくれるイメージです。
多忙な先生が学習者の一人一人の理解度や進度を把握し分析、対応するわけにいかない、ここにAIが子どもたちの個別最適化の学びを実現してくれる‥‥ナルホド!いいね!‥‥だけでなく、ここでゼロベースで違った見方で考えたいのです。
「最適!」が一番わかるのは自分自身
もちろん「個別最適な学び」は手段であり、目的ではありません。
あらためて「個別最適の学び」って何なのか?
何の個別?、何をもって最適と言えるのか?
誰が“最適”と判断するのか?
そもそも最適って何?‥一人一人の特性や理解や進度に対する最適?
いいえ、最もフィットすることや、自分が欲することに対して、これ!って言えることを最適って言うんじゃないの?といったようにゼロから考えてみます。
するとあたりまえで大切なことに行き着きます。学習者の個別最適な学びを決めることができるのは、AIでも注意深い教師でさえなく、その学習者本人ということです。
自らを客観的に見て、なぜ私はここでいつも間違えるのだろう?とか、ここは時間をかけてゆっくりいろいろな角度で考えようと自分で決める、「私にいちばん適している学び方はこの方法じゃないかな」という風に考えたり工夫したり出来る意志を持ち「自分で自分を成長させる人になる」‥‥ここにこそ価値があるのではないでしょうか。
「自分で自分を成長させる人」になる
自分で自分の思考やふるまいを客観的に見る(メタ認知‥ここにポートフォリオが活きる)。
他の人と比べるのではなく、自分の関心、好きな傾向、ワクワク、没頭、無我夢中、至福感など感じそれを大切にしながら自ら学び成長する。
自分の学びを最適にできるのは、膨大なビッグデータを持つAIでも、指導力の高い優れた教師でもなく、自分自身なんだ。
自分で自分を成長させる、望むように変えることができるんだ、という気づきや意志こそが大事なのではないでしょうか。
自由に考え、知へ手を伸ばすことができる、どんな手段で学びたいのかを考え自由に選択できる環境はすでにあるのですから‥!
それが本当の生涯学習なんだ、ということを前川喜平さんとZoomで対話をしました。
どうぞラジオ感覚で見て(?)ください。このYouTube動画を見た方から感想いただいています。
「はじめは、ペンを片手にメモしながら視聴していたけど、今回の動画は、気がついたら
ビールとおつまみのピーナッツで、楽しみながら視聴しました!」とのことです!
前川喜平さんと楽しいYouTube対話(3)
『これこそ個別最適の学び 生涯学習』
人生100年の時代、「〇〇大学です」「すごい!」と言われるのは、いっときです。
本当に価値ある学びとは、何なのか?
究極の個別最適な学びとは?
人は何のために学ぶのか‥
前川喜平さんと、互いの経験を交え楽しく対話しました。
3回目の収録で緊張も解け、気がつけば完全にいつもの鈴木敏恵のまま笑ったり、感動したり、心の中で涙が出たりと楽しくも深い、YouTube動画になりました。
前川さんのお話がすごく面白いです!
<YouTubeの内容>
07:00 看護師という存在が私を成長させた!感謝!
11:58 学校教育 vs 生涯学習?
14:20 大人のフリースクール
27:00 ペットボトル「綾鷹」という文字
45:45 NHKの連続ドラマあまちゃんの作曲、大友良英さん
47:06 前川喜平さん、歌う。
【前川喜平】‥文部大臣秘書官などを経て官房長、初等中等教育局長、文部科学審議官、
文部科学事務次官に就任。2017年退官。著作「これからの日本、これからの教育(前川喜平・寺脇研)」
前川喜平さんと鈴木敏恵との対話
〇「プロローグ編」
https://www.youtube.com/watch?v=DiO0osPdYEo
(1)『高校生の進路/教育再生実行会議/看護師は未来の人』
https://youtu.be/SU5pWvoAnyU
(2)『何のために学ぶのか‥真理・真実‥学びはプライスレス』
https://youtu.be/mZ289L_KiQo
(3)『これこそ個別最適な学び 生涯学習』
https://youtu.be/YBkgmy71S2o
(4)『ゆとり教育の真実・学力とは・学習指導要領』
https://youtu.be/32zRaRh46ho
(5)『偏差値 自尊感情・大切なもの』
https://youtu.be/i1v_bXEoS9E
(6)『特別支援学校 大学 学校看護師』
https://youtu.be/lm7BmgtXzFc
(7)『国語 フィンランドの教科書 近現代文学』
https://youtu.be/PjRFN0Zqcio
(8)『哲学・いま「教科」の垣根を超えて‥』
https://youtu.be/_Gk20KERRYE
(9)『一人ひとりが考え続けることに価値がある』
https://youtu.be/FU3EPz-38XU
辻村哲夫さん(元文部科学省初等中等教育局長)との対話
□ 『ゆとり教育の誤解(1)-学力低下?していない』
https://www.youtube.com/watch?v=LceJ6JHdslM
□ 『ゆとり教育の誤解(2)-ゆとりの本当の意味とは‥』
https://www.youtube.com/watch?v=7PM12VqfnQ8