☆『鈴木敏恵の未来教育インフォメーション』☆創刊6号☆

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☆『鈴木敏恵の未来教育インフォメーション』☆創刊6号☆ほぼ日刊☆
5月11日木曜日発行
[ホームページ] http://www.suzukitoshie.net/miraiinfo.html
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発行者:鈴木敏恵 編集者:梶原末廣  suzukimm@ma3.justnet.ne.jp
kanoyu@po.synapse.ne.jp
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目次

ポートフォリオ連載 no5

 〜〜 ポートフォリオとは?  〜〜
                      鈴木 敏恵

なぜ、ポートフォリオが必要か?

 「総合的な学習」など新しい学習には、これまでの教科書やノートに代わり、いろいろな学習歴のモノが手元に残る。..これらは、その厚み、サイズ、形態などが様々である。その個々の情報素材は、必ず相互関係を持ち、学習者の考察や検証の際にその個々が有機的に関連しあい、「次の思考」の”元”となる。

また学習者は、それらの情報素材全体をパラパラと大きく俯瞰することで、重要な発見や気付きを得ることも多い。ゆえにそれらはバラバラにならないようにきちんとひとつの軸で一元化されている必要がある。ここにポートフォリオがずばり応えるのだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜「元ポートフォリオ」心得3箇条〜〜〜〜〜〜〜〜

必須条件1{保存}とにかく、「とっておく」こと
必須条件2{在処}それは、一カ所に「一元化」しておくこと
必須条件3{信頼性}そのすべてに、「日付と出所」を記入しておくこと

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鈴木敏恵 近刊 『ポートフォリオで評価革命』
       〜その作り方・実践事例・授業案〜 より抜粋 
(学事出版担当坂本氏 ”ken sakamoto” <ad6k-skmt@asahi-net.or.jp>)2000.5月末発売
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連載2{未来教育探訪旅行エッセイ}

〜〜「伝える」ということがもつ「力」〜〜
                      鈴木敏恵

 私が、幼いことから一貫してつよい関心をもっているのは、「伝える」ということがもつ「力」。
なぜなら、それこそが人間の精神の進化のKeyだから。
 「学校」は、「知を伝える所」だ。
だから私は、そこにつよく関心を持ち、関わりたいと願うのだろう。

 牙も、毒も、生き延びるための手段をほとんどなにももっていない人間が今日まで生き延びてきたのは、「伝える」ことをしてきたから。
それは、知恵、技術、知識、精神・・・。

 新世紀。人類はいま、「地球を網羅する伝える手段」=「ITネットワーク」を得た。そのインターフェースとしてのマルチメディア。マルチメディアとは=「多様な媒体」=「たくさんの伝える(手段)」伝えることを生かし、伝えるために全精力を、今日も傾けている私達。

 その伝えるは「黒板」であったり、「教科書」であったり「手紙」「テレビコマーシャル」「企業プレゼンテーション」「映画」「新聞」「雑誌」「コンサート」・・・。どれも「伝える」ためにある。
伝わらなかったら、そのコンテンツがいかに価値を持とうが意味がない。そのすべては、「伝わって」はじめてスタートする。

コンテンツがよくても「伝わる」とは限らない。

 伝え方、手段、そこにしたたかな作戦。シンプルにして高度なセンスがいる。いいえ、このようなものがすべてなくても「伝えたい。」
その強いおもいが発信者の覚悟に要る。
 そしてそのキーは、
「相手の気持ちを感じながら、心から話す。」という素朴な原点だ。

 多くの場合、教育の場でステージでエライ方が役にたつ話しをしても、生徒たちに伝わっていない・・・珍しいはなしではない。二年前、日本の最高頭脳と言われている博士(とてもご高齢)が中学生たちに話しをされていたのを見た。素晴しい話しだった(のだろう)。しかしその方は、中学生に話すことになれてない、ご様子。その表現、リズム、トーン、語彙そのすべてが、いまの中学生たちの感覚、感性、インターフェースとまったく異なり、同じ日本語でありながら、全然通じていない・・・。

 熱心で礼儀正しい中学生たちだったにも関わらず、目をひらきながら、頭まっしろで意識が遠くに行ってしまっていることがフリーズした姿勢と、その半開きの眼の様子でわかった。

中には正直にコックンと居眠りしはじまる子もいた。博士の頭脳には、人類の宝のような「知」が詰まっている。もったいないことだ。論文ならイケル(だろうが・・?)が、中学生にはダメだった。しかし私は中学生をせめることはできないと思う。

 世界的なジャーナリストが言っていた。大概のことは、どんな難しいテーマでもその人の中で淘汰していれば、「12才の子に5分で説明できる」はず、と。私もまったくそう思う。細かいことはいらない。
「物事の本質」をだけでいい。それは5分でできる。小学生五年生くらいならもう通じる。

 そして本来、どんな「知の分野」の話しでも、その「物事の本質=普遍性」の話しは、ぞくぞくするほど面白いことは間違いないのだ。誰もが身を乗り出して聞きたがる筈なのだ。

 学校も博物館も伝える所だ。人間のこと、宇宙のこと、真理・・・。では、そこで最高最善の「伝える」を工夫しているだろうか?

 「伝える」手段、それを深くしたたかに工夫しているだろうか?
大人たち、先生たち、私達は「伝えるための知恵」を絞っているだろうかそれを行動に移しているだろうか?

 その一つが、いま流行りのコンピュータプレゼンテーション。
講演会・学校。・・・でもそれってほんとうに面白い???
心に届いてる???

 マルチメディア表現が伝えるために有効であることは間違えない。
世界中の教室にテレビ黒板が欲しい、マルチメディア環境が欲しい。
それは10年以上まえからの、鈴木敏恵のささやかな野望のひとつだ。

 マルチメディア・コンピュータ、はもちろん有効。でもそういうモノがまったくなくとも・・たったひとりの心をこめた人間に適うものはない、と知ったワンシーン。それが、エクスプロラトリアムというミュージアム(サンフランシスコ)
  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ (前号に続く)

◆「伝える力」を持つもの
 エクスプロラトリアムというミュージアム(サンフランシスコ)。
インターネット、バーチャルミュージアム、バーチャルライブラリーなど、ネットワーク上での博物館、情報検索、あるいは合同研究というのがたいへん進んでいるところ。人間の感覚が、何をどうを掴むのか、現象の背後にある普遍的な物理の法則を気づかせる仕掛けが満ちている。

◆「牛の目玉」とコンピュータ
 インターネットコーナーの真向かいの人だかり。近寄ってみた。子供や大人の囲いの奥には、若くて知的でキュートな女性の科学ボランティアがまるで手品師のように人々の関心をその「手元」に集めている。

 みんなが凝視しているのは、彼女の手で解体されていく本物の「牛の目玉」!(ずばり!げげげのキタロウのお父さん!!)なんか血管の管か、神経みたいなものや、薄い膜みたいな、臓物系(?)の気持ち悪い感じ(ほとんど焼き肉やのポルモンの世界!)。それをキュートなおねえさんが、ニコニコしながら、せつめいしつつメスをいれている、手には手術用のメスみたいなもの。

◆「物が見える原理」について「伝える」ために・・
 このインターネットコーナーの真ん前で、本物の「牛の目玉」を使って、目の構造について子どもたちに見せている。日本だったら、コンピューターはコンピューター、目は目。別のコーナー。
 その女性は、「物が見える原理」について「目玉」で丁寧に説明しているのだ。そのヌルヌルした物を手のひらに広げ、みんなの前へ差し出している。牛肉が主食の米国でも、牛の死体の一部ともいいたい目玉は、誰もが見たことがあるという代物ではない。ぎゃーってかんじでも興味津々の子ども達や大人もみなが、かぶりつくように・・・子供はこういうの嫌いじゃない、どこの国も。熱心、熱心。でも考えてみて、もし教科書や黒板でやったならこうはいかない。かぶりつかない。

◆リアルの力
 みんな凝視している。彼女の手のひら。その話し方がまたいい、見ている人たちとの会話で進む。目を合わせたり、頷いたり、喚声をあげたりしている。 ・・可愛い女性が、なにも「ナマモノ」で手をベトベトにしなくとも、この一連のプロセスは、デジタル化され、その真ん前にあるインターネットコーナーのコンピュータにも入っている。
しかしそこにはだれもいない。コンピュータでは、これほどに人々の心を捉えない。なぜならそれはリアル/実物ではないから。そこに確かに存在する「本物」ほど、人間の好奇心をそそるものはない。「リアル」のみが持つ「伝える力」を活かしている。知の好奇心がわきあがる。コミュニケート・・・これに適うものはない。
  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 
あなたは深く考えたことがありますか?
「伝える」がもつ「力」を…..。
                  (次号につづく)
               2000.5.11 toshie
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プロフィール: すずきとしえ/未来教育を提唱する第一人者/NHKTV
「視点・論点」テレビ、ラジオ、新聞などで教育ルネッサンスを熱く
語る。ナレッジマネージメント・IT・感性を教育界に吹き込む未来派
シンクタンク/文部省、郵政省公職歴任/著書『マルチメディアで学校
革命』小学館6刷/『鈴木敏恵の未来への提言〜21世紀バイブル〜』
『ネットデイ学校革命!』学事出版/『未来教育/総合的な学習〜ポー
トフォリオ』『未来教育/総合的な学習〜プロジェクト学習』VHS明治
図書発行(申し込みは http://www02.so-net.ne.jp/~s-toshie/のみ)
◆インターネット
◇鈴木敏恵のヴァーチャルオフィス http://www.suzukitoshie.net/
◇鈴木敏恵とポートフォリオを作ろうML
 http://www5a.biglobe.ne.jp/~kanai/
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—編集後記—
 「未来教育MM」創刊6号お届けします。二つの連載お届けして
います。「ポートフォリオ」は「総合的な学習」と関連して今一番
ホットな課題ではないでしょうか。皆様の率直なご意見やご感想を
お待ちしています。ふたつめの「未来教育探訪旅行」、今回は「伝
える」ということがもつ「力」です。古くて新しい問題?私たちは
いつからこの「力」が弱くなったのだろうか。とことん衰弱したよ
うな「力」しか持ち合わせていないような気がする。ゆゆしき事態
といわねばならない。だが、ここに強烈なエネルギーを持ち合わせ
た存在がいる。鈴木敏恵さんその人である。人間肯定・性善説、否
そのような言葉では括れない広大な世界を思わせるのである。
                        (梶原末廣)
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『鈴木敏恵の未来教育インフォメーション』☆5月5日創刊☆
発行者:鈴木敏恵 編集者:梶原末廣  suzukimm@ma3.justnet.ne.jp
     kanoyu@po.synapse.ne.jp
        【発行部数552名】(5/11)
発行システム:インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
                     http://www.mag2.com/
■【未来教育MM】●マガジンID:0000031436

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 ☆  「質問コーナー」&【掲示板設置】
   ・「ポートフォリオQ&A掲示板」
     http://www.suzukitoshie.net/cgi-bin/web/wforum.cgi
   ・「未来教育全体掲示板」
     http://www.suzukitoshie.net/cgi-bin/web1/wforum.cgi
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             鈴木敏恵
       未来教育デザイナー/一級建築士 
◇鈴木敏恵のポートフォリオ http://www02.so-net.ne.jp/~s-toshie/
                        ・。・゜☆・゜・。・☆ 

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