CASE-12
地域の社会資源を活かし高齢者が愛する地元で幸せに暮らせる方法を提案するプロジェクト学習
【実践事例の経緯】
地域を活かすプロジェクト学習。
地域の社会資源を活用して「住み慣れた地域でその方らしい暮らしを続ける」ための提案をするプロジェクト学習です。地域の魅力や課題・社会資源に気づくことができます。R10でリアルに対象者を描くところからスタートします。
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実践者の声
秋田県は少子高齢化が進んでおり、特に高齢化率は全国1位となっています。当校は、このような地域の保健医療の担い手として活躍できる看護実践者を育成を目的とした3年課程の看護学校です。その人らしい暮らしを支えるため、「自ら学び続ける力」「考える力」「行動する力」「センシング力」をあわせもち、看護を創造できる能力を育成することを理念としています。そのため、ビジョンを描き、学び続けることができるように2020年度からプロジェクト学習を取り入れることとし、鈴木敏恵先生にご指導をいただいています。今年度のプロジェクト学習の1つとして、「住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続ける」ための提案をします!~社会資源活用プロジェクト~に3年生が取り組みました。
現在社会では、誰もが可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるような支援が必要であるとされています。このような、「地域」という不変的なテーマに取り組むことで、看護の対象である人々の地域と暮らしの理解、地域における看護を学ぶ機会となり、地域の魅力や課題・社会資源に気づくことができます。
R10でリアルに対象を描きながら、現在までの老年・在宅看護の知識や実習で得た体験を基に、国家試験の学習とも連動させた学びは、超複合課題と言えると思います。この、超複合課題がプロジェクト学習なのです。その結果、自ら学び広い視点で考える力がつきます。また、地域という現実が学びのステージでありながら、Google Classroomを使いチームで学びを共有し、iPad でデジタルテキストを開き、スマートフォンでは、地域の社会資源の情報を検索しながらデジタルを駆使して学びました。
2日間という期間でしたが様々な媒体を複合して使用することで、プレゼンテーションまで実施することが可能となります。またこの様子は、オープンキャンパスに来校した高校生に公開し、プレゼンテーションに参加してもらいました。高校生は、未来の自分の姿と重ねながら、看護学校での学びをイメージし、プロジェクト学習の成果を学ぶ機会になりました。
また、ZOOMで鈴木敏恵先生・違う地域の地域連携部の師長とつながり、実習病院の地域を知り尽くした副看護部長にゲストとしてお越しいただきリアルとデジタル空間を行き来しながら、アドバイスを頂きました。アドバイスから、対象者のACPや願いに沿いその人らしくよりよい生活を送ることができるようにサポートを考えていく大切さを学びました。デジタル空間での学びは、高度な機器がなくても、惜しみなく準備をしっかり行えば、誰でも取り組むことができます。そこでの成功の鍵は、お互い見たいものが見えるようにする工夫だと思います。ZOOMの画面越しに、学生が何にどのように取り組んでいるのかがわかるようにすれば、離れた場所からでも、アドバイスが可能となり双方向のやり取りができます。
このように在学中に、プロジェクト学習を繰り返し行うことで、「自ら学ぶ力」「考える力」が成長します。また、どんな看護師を目指したいのかキャリアビジョンを明確し、自信をもって看護の道を歩むことができます。おかげさまで、プロジェクト学習を取り入れて、国家試験も全員合格することができています。「こうなりたい」と描く看護師の未来に向かい成長するために、学ぶ原動力となり、国家試験は通過点と考えることで全員合格が実現できていると思います。
中通高等看護学院
大塚 紀子さん
関連資料
実践事例の関連書籍
『アクティブラーニングをこえた看護教育を実現する:与えられた学びから意志ある学びへ(医学書院)』p.124
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